お医者様が障害年金に難色を示す理由はなぜなのかを解説!
障害年金を請求したいと考えているものの、医師から診断書の作成を断られたり、難色を示されたりすると、不安を感じる方もいるでしょう。
「診断書を書いてもらえなければ障害年金を請求できないのではないか」と考えてしまうのも無理はありません。
しかし、医師が障害年金の診断書作成に慎重になる背景には、診断書の性質や記載内容、診療上の事情などがあります。
そこで、障害年金の申請について、医者が慎重になるいう状況が起こる理由から、診断書を依頼するときの対応方法まで、制度に沿って整理します。
障害年金申請において、医者が慎重になる理由5選

障害年金の申請を、医者が慎重になるという状況が生じても、医師が障害年金そのものを否定しているとは限りません。
障害年金の診断書は、障害状態を確認するための重要な書類であり、医師には医学的な所見に基づいて記載することが求められます。
日本年金機構も、障害等級を適切に決定するため、診断書にはできる限り詳細かつ具体的な内容を記載することが重要としています。
そのため、診療内容だけでは判断しにくい事項まで記載する必要がある場合、医師が慎重に対応することがあります。
障害年金申請を、医者が慎重になる理由の概要表
| 理由 | 概要 |
|---|---|
| ① 診断書作成の負担 | 診断書は記載項目が多く、作成に時間がかかるため |
| ② 診療時とは異なる情報が必要 | 日常生活や仕事への影響など、診察だけでは分からない情報が必要なため |
| ③ 専門家ではないため | 医師は医学の専門家であり、障害年金の実務を専門としているとは限らないため |
| ④ 診断書の内容に慎重になる | 医学的な所見に基づき、正確な内容を記載する必要があるため |
| ⑤ 障害状態を十分に把握できていない | 転院直後などは、過去の症状や治療経過を把握できていない場合があるため |
① 障害年金の診断書作成には医師の負担が生じるため
障害年金の診断書は、通常の診療記録とは異なる様式で作成するため、医師に一定の事務的負担が生じます。
診断書には傷病の状態だけでなく、障害の程度を判断するために必要となる事項を記載する必要があります。
日本年金機構は、診断書の種類ごとに「診断書記載要領」を設けており、医師が確認すべき項目も多岐にわたります。
そのため、診療時間や医療機関の業務状況によっては、診断書作成に時間を要することがあります。
障害年金の無料相談に申し込みをしたのだが、主治医に「申請したいと思っている」と言ったら、
「年金の診断書を書くのは、医師にとってとても大変なんですよ🥺」と言われる…— ジンジャー&エール発達垢8/15おもバザ大崎 (@gingeralenya) December 11, 2021
② 障害年金の診断書では、診療時とは異なる情報が求められるため
障害年金の診断書では、医学的な症状だけではなく、障害によって生じている生活上の制限などを確認する必要があります。
障害認定では、障害の程度を日常生活の度合いや労働能力の喪失などから判断することが基本とされています。
そのため、医師が診察室で把握している症状と、本人が自宅や職場で経験している困難には差が生じる場合があります。
診療時に伝えられていない生活上の事情については、医師が診断書に具体的に記載することが難しい場合があります。
③ 医師は障害年金制度の専門家ではないため
医師は医学の専門家ですが、すべての医師が障害年金の認定実務に精通しているとは限りません。
障害年金では、国民年金・厚生年金保険の障害認定基準に基づいて障害等級が判断されます。
一方、診断書を作成する医師が行うのは、医学的な診断や症状、状態などについて所見を記載することです。
そのため、障害年金の等級に該当するかどうかを、医師が独自に判断して診断書を作成するのは難しい場合もあります。
☞参考記事:「医者に障害年金は難しいと言われたが、本当にそうなのか?」
④ 診断書の内容について医師が慎重になることがあるため
障害年金の診断書は、障害状態を確認するための公的な請求書類として使用されます。
医師は、診療録や診察時の所見などを踏まえ、医学的に確認できる事項を記載する必要があります。
そのため、本人から希望する等級を伝えられた場合でも、その希望どおりの内容を記載できるとは限りません。
医師が記載内容について慎重になることは、診断書の性質を考えると不自然な対応とはいえません。
障害年金の診断書一通を作成するために、本人やご家族がどれほどの思いでこれまでの生活歴や病状を伝えてきたか、また医師も専門的見地からどれほど慎重に判断を下しているか。…
— こころのnote🐬精神保健福祉士 (@dolphin_note_) July 13, 2026
⑤ 診療期間が短く障害状態を十分に把握できていない場合があるため
障害年金の診断書を作成するには、現在の症状だけでなく、これまでの治療経過や障害状態について医師が把握していることが重要です。
しかし、転院したばかりの場合や受診期間が短い場合、医師が過去の症状や日常生活への影響を十分に確認できていないことがあります。
特に、障害認定日など過去の時点における障害状態について診断書を作成する場合、現在の診察だけでは当時の状態を正確に判断することが難しいケースがあります。
そのため、医師が診断書の作成に慎重になったり、十分な情報が確認できるまで作成を難しいと判断したりすることがあります。
医者が障害年金申請をためらうときに、知っておきたい診断書のポイント

障害年金の申請を、医者がためらうという問題を考えるときは、診断書がどのような役割を持つのかを理解することが重要です。
障害年金の診断書は、請求者の障害状態を医学的な観点から確認するために使用されます。
日本年金機構は、障害等級を適切に決定するため、診断書の内容をできる限り詳細かつ具体的に記載することが重要としています。
したがって、診断書を依頼するときは、等級を決めてもらうという考え方ではなく、現在の障害状態を正確に伝えるための資料として考えることが大切です。
障害年金の診断書は審査に関わる重要な書類になる

障害年金の請求では、所定の診断書を提出する必要があります。
障害厚生年金の請求でも、所定の様式による医師の診断書が必要書類として案内されています。
診断書には、医師が医学的な所見に基づいて障害の状態を記載することになります。
その内容は障害認定において確認される資料の一つとなるため、事実と異なる内容を記載してもらうよう依頼することは適切ではありません。
診断書は日常生活や就労状況などの具体的な記載が必要になる
障害年金では、傷病名だけで障害等級が決まるわけではありません。
障害認定基準に基づき、障害の程度や認定時期、認定方法などを踏まえて判断されます。
そのため、実際の生活でどのような制限が生じているのかを、診療時に医師へ具体的に伝えることが重要です。
たとえば、食事、清潔保持、金銭管理、通院、対人関係、仕事などにどのような支障があるのかを整理しておくと、診療時に説明しやすくなります。
医師に伝えたい日常生活・就労状況の具体例
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 食事 | 食事の準備が難しく、家族に用意してもらうことがある |
| 清潔保持 | 入浴や着替えを一人で継続することが難しい |
| 金銭管理 | お金の管理が難しく、家族に管理してもらっている |
| 通院・服薬 | 一人で通院することが難しい、服薬を忘れることがある |
| 対人関係 | 人とのコミュニケーションが難しく、周囲とのトラブルが生じることがある |
| 仕事 | 集中して仕事を続けることが難しく、勤務時間の短縮などの配慮を受けている |
| 日常生活 | 掃除や洗濯などの家事を一人で行うことが難しい |
医師が把握していない生活上の困りごとは伝える必要がある
診察時間だけでは、本人の日常生活をすべて医師が把握することは難しい場合があります。
特に精神疾患などでは、診察室では比較的落ち着いて話せても、自宅や職場では大きな支障が生じていることがあります。
そのため、実際にどのような場面で支援が必要になっているのかを、具体的な事例として医師に伝えることが重要です。
ただし、等級に該当するように表現を調整するのではなく、実際の状況を正確に伝えることが基本となります。
障害年金申請を、医者が難色を示す場合の対処方法

医者が障害年金申請を難色を示すという状況になった場合でも、まずは医師が何を理由として難色を示しているのかを確認しましょう。
診断書の作成そのものが難しいのか、現在の診療期間では過去の状態を判断できないのかなど、事情によって対応は異なります。
障害年金の請求では、診断書のほかにも受診状況等証明書や病歴・就労状況等申立書などの書類が関係します。
状況を整理したうえで、医療機関や年金事務所などに相談することが適切です。
【まずは】障害年金の診断書を作成できるか医師に相談する
最初に行いたいのは、担当医へ障害年金の診断書を作成できるか確認することです。
このとき、「何級の診断書を書いてください」と依頼するのではなく、「障害年金の請求を考えているため、診断書の作成をお願いできますか」と相談する方法が適切です。
医師が作成できないと判断した場合には、その理由を確認しておくと、その後の対応を考えやすくなります。
診断書を作成する前には、障害年金の要件や使用する診断書の種類などについて年金事務所等へ相談するよう、日本年金機構も案内しています。
☞難しそうであれば、無料相談も行ってますのでお気軽にどうぞ^^
診断書作成に必要な情報を整理してから受診する

診断書の作成を依頼する前に、自分の症状や生活状況を整理しておくと、医師へ説明しやすくなります。
たとえば、発症から現在までの治療経過、服薬状況、症状の変化、日常生活で困っていることなどを時系列でまとめます。
就労している場合には、勤務日数や勤務時間、職場で受けている配慮なども整理しておくと、説明する際の参考になります。
情報を整理しておけば、限られた診察時間でも現在の状態を具体的に伝えやすくなります。
診断書を断られた場合は、主治医以外の視点を取り入れる
担当医から診断書の作成を断られた場合でも、その理由によっては別の対応を検討できます。
たとえば、過去の診療内容を十分に把握していないことが理由であれば、当時の医療機関に関する資料が必要になる場合があります。
現在の医療機関で診断書を作成できない事情がある場合には、年金事務所等に事情を説明し、必要な書類や手続きを確認することが考えられます。
医療機関を変更する場合も、自己判断だけで進めず、現在の治療との関係を考慮して慎重に判断しましょう。
※転院を検討する場合、転院しても初診日は変わりません(最初に受診した日のままです)。ただし新しい医師は過去の経過を把握していないため、診断書の作成までに一定期間の通院が必要になるのが一般的です。
また、障害認定日(初診日から1年6か月)当時の診断書が得られない場合でも、現在の状態で「事後重症請求」を行える場合があります。「過去の診断書が書けない=請求できない」ではありません。
※主治医に直接話しにくい場合や、コミュニケーションがうまくいかない場合は、病院内にいる『医療ソーシャルワーカー(MSW)』などの相談窓口へ相談してみるのも大変有効です。ソーシャルワーカーが患者と医師の間に入って状況を整理し、診断書作成の橋渡しをしてくれるケースが多々あります
障害年金申請において、医者がためらうことを避けるためにできること

障害年金申請において、医者がためらうという状況を避けるためには、診断書の作成を依頼する前から情報を整理しておくことが重要です。
特に初診日や受診歴、現在の症状、生活上の制限などは、請求手続きでも重要になる情報です。
日本年金機構も、診断書の種類や症状の日付などを確認するため、診断書を作成する前に年金事務所等へ相談するよう案内しています。
事前準備を行えば、医師へ伝える情報が整理され、診断書作成について相談しやすくなります。
受診歴や治療経過を整理しておく
障害年金の請求では、初診日やその後の受診歴を確認する必要が生じる場合があります。
特に現在の医療機関と初診時の医療機関が異なる場合には、初診日の確認のため受診状況等証明書が必要となる場合があります。
そのため、医療機関の名称、受診した時期、転院した時期などを可能な範囲で整理しておきましょう。
治療経過を時系列でまとめておくと、医師や年金事務所へ状況を説明する際にも役立ちます。
日常生活で支障が出ている場面を具体的にまとめる
障害年金では、障害によって日常生活にどの程度の制限が生じているのかが重要な確認事項になります。
日本年金機構は、障害年金について、日常生活の度合いや労働能力の喪失などに応じて障害等級を決定すると説明しています。
そのため、「以前はできたが現在は難しくなったこと」「一人ではできず家族の支援が必要なこと」などを具体的に整理しましょう。
生活状況を記録しておけば、診察時に伝える内容を思い出しやすくなります。
就労状況や仕事への影響を整理しておく
就労している場合は、単に「仕事をしている」という事実だけで障害状態を判断することはできません。
勤務時間、勤務日数、仕事内容、職場から受けている配慮、欠勤や遅刻の状況など、実際の就労状況を整理することが重要です。
障害認定では障害の程度を判断するための基準が設けられており、傷病の種類によって確認される事項も異なります。
したがって、仕事内容だけでなく、障害によってどのような制限や支援が生じているのかを具体的に整理しましょう。
就労状況や仕事への影響について整理する内容表
| 確認する項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 勤務時間 | 1日の勤務時間、勤務時間の短縮など |
| 勤務日数 | 週・月の勤務日数、欠勤の状況など |
| 仕事内容 | 担当している業務、業務量、仕事内容の変更など |
| 職場での配慮 | 休憩時間の調整、業務内容の変更、勤務時間の調整など |
| 欠勤・遅刻 | 欠勤や遅刻の頻度、障害による影響など |
| 仕事上の支障 | 集中力、対人関係、体力など、仕事に生じている具体的な制限 |
| 支援の状況 | 上司や同僚などから受けている支援やサポート |
障害年金申請において、一人で悩まないための相談先

障害年金申請を、医者がためらうという問題を自分だけで解決しようとする必要はありません。
医師には医学的な判断を相談し、年金制度については年金事務所などに相談するというように、相談先を分けて考えることが重要です。
障害年金の認定は、医師が等級を決定する仕組みではなく、障害認定基準に基づいて行われます。
医師とのやり取りで行き詰まった場合には、制度上の手続きについて第三者へ確認することも検討しましょう。
年金事務所で障害年金の制度について確認する
障害年金の請求要件や必要書類については、年金事務所などで確認できます。
特に診断書を作成する前には、使用する診断書の種類や記載する症状の日付などを確認することが重要です。
医師に相談する前に制度上の必要事項を確認しておけば、何を準備して診断書を依頼すればよいのか整理しやすくなります。
医師に断られた場合も、断られた理由を整理して年金事務所へ相談すると、次に取るべき手続きを確認しやすくなります。
☞参考HP:日本年金機構「年金の受け取りに関するパンフレット」
社会保険労務士に障害年金の申請について相談する
障害年金の手続きについて専門的な支援を受けたい場合は、社会保険労務士への相談も選択肢になります。
社会保険労務士は、社会保険や年金に関する手続きを扱う専門職であり、障害年金の請求を取り扱っている事務所もあります。
ただし、社会保険労務士が医師に代わって診断書を作成したり、医学的な判断を行ったりすることはできません。
医師による医学的な診断と、年金制度に関する手続き上の支援を分けて考えることが重要です。
【まとめ】障害年金申請において、医者がためらう場合でも、落ち着いて対処していこう

障害年金の申請に慎重になる状況には、診断書作成の負担や診療上の事情、過去の状態を把握する難しさなど、さまざまな背景が考えられます。
医師が障害年金の診断書作成に慎重だからといって、直ちに障害年金を請求できないという意味ではありません。
まずは診断書の作成が難しい理由を確認し、必要な情報を整理したうえで、医師や年金事務所など適切な相談先へ確認しましょう。
障害年金の請求では、実際の症状や日常生活、就労状況を正確に伝えることが基本となります。
最終更新日 1週間 ago
投稿者プロフィール

- Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
-
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。
この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。
障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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