【精神疾患で障害年金】審査を左右する診断書について

精神疾患で障害年金を申請する際、診断書は審査結果を大きく左右する最重要書類です。しかし、どのような点に注意して医師に作成を依頼すればよいのか、詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、精神疾患に特化して、障害年金の診断書について社会保険労務士が徹底解説します。

障害年金における診断書の重要性

障害年金の申請において、診断書は審査結果を大きく左右する重要な書類です。特に精神疾患の場合、病歴や症状の経過だけでなく、日常生活への影響を的確に記載することが求められます。医師の記載内容によっては、受給の可否や等級が大きく変わるため、慎重な対応が必要です。

診断書の種類と様式

障害年金の申請には、疾患の種類によって異なる診断書様式が用いられます。精神疾患に関する診断書は、以下のようなポイントを重視して作成されます。

  • 基本情報(氏名、診断名、発病日、初診日など)
  • 症状の経過(発症から現在までの病状の推移)
  • 治療内容(服薬の種類や頻度、治療方法)
  • 日常生活への影響(ADL:日常生活動作、QOL:生活の質の評価)
    • ADL(Activities of Daily Living):食事や入浴、トイレの使用、着替えなど、基本的な日常生活の動作がどの程度できるかを示す指標。
    • QOL(Quality of Life):生活の質を表し、精神的・社会的な充実度や、仕事や家庭生活にどの程度影響があるかを評価する。
  • 社会生活への影響(就労の可否、対人関係など)

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診断書作成(・依頼)の際の注意点

診断書の作成を依頼する際には、以下の点に注意しましょう。

  1. 医師に適切な情報を伝える
    • 受診時の症状や日常生活の困難さを具体的に説明する。
    • 過去の病歴や治療歴を整理して伝える。
  2. 診断書の記載内容を確認する
    • 記載内容に誤りがないかチェックする。
    • 曖昧な表現や不足している情報がないかを確認する。
  3. 診断書の提出期限を守る
    • 障害年金の申請には期限があり、通常、障害認定日から1年以内に手続きを行う必要があります。その他、事後重傷請求の場合は、現症日から3か月以内に手続きを行う必要があります。

日常生活能力の判定

精神疾患における障害年金の審査では、「日常生活能力の判定」が重要な要素となります。これは、1人暮らしを想定して、日常生活をどれだけ自立して送れるかを評価するものです。

この判定では、以下のような項目が評価されます。

  • 食事・入浴・排泄などの基本的な生活動作:自分で食事の準備や後片付けができるか、入浴や排泄を適切に行えるかが確認されます。
  • 金銭管理や買い物の可否:必要なものを自分で購入できるか、お金の計算や支払いを適切に行えるかが評価されます。
  • 通院・服薬の管理能力:決められた日時に病院へ行けるか、処方された薬を正しく服用できるかがチェックされます。
  • 他者との意思疎通や対人関係の状況:家族や友人、職場の人と円滑に会話ができるか、人付き合いに問題がないかが審査されます。
  • 危機管理能力(事故や危険を回避できるか):交通ルールを守れるか、火の始末や戸締まりなど安全管理ができるかが評価の対象となります。

この評価が低いほど、障害等級が高くなる傾向があります。

診断書作成を依頼するタイミング

診断書の作成依頼が必要なのは、以下のような場合です。

  • 初診日から1年6カ月を経過し、障害認定日が近づいたとき
  • 更新手続きのために新たな診断書が必要になったとき
  • 症状が悪化し、等級変更を申請する必要があるとき

一般的に、診断書の完成までには1〜2か月かかることが多く、場合によっては半年以上かかるケースもあります。そのため、早めに医師と相談し、適切な時期に診断書を取得することが重要です。

診断書作成にかかる料金

診断書の作成費用は医療機関によって異なりますが、一般的な相場は5,000円〜15,000円程度です。医療機関によっては、追加料金が発生する場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

診断書を作成してもらえない場合

医師によっては、診断書の作成を拒否することがあります。その場合、以下のような対応を検討しましょう。

  1. 別の医療機関に相談する
    • 診断書作成に理解のある医師に相談する。
  2. 主治医と話し合う
    • 診断書作成の目的を丁寧に説明し、協力を依頼する。
  3. 社会保険労務士に相談する
    • 診断書の取得方法や代替手段について専門家の意見を聞く。

専門家への相談

障害年金の申請には専門的な知識が必要なため、社会保険労務士に相談することでスムーズに手続きを進めることができます。特に以下のようなケースでは、専門家のサポートを受けると有利です。

  • 診断書の内容が不十分で再提出を求められた場合
  • 審査結果に納得がいかず、再審査請求を検討している場合
  • 初診日や病歴に関する証明が難しい場合

まとめ

障害年金の申請において、診断書は非常に重要な役割を果たします。適切な情報を医師に伝え、正確な診断書を作成してもらうことで、スムーズな受給につながります。診断書の取得や記載内容に不安がある場合は、社会保険労務士に相談し、適切なサポートを受けましょう。

最終更新日 2か月

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