【金沢】人工透析の障害年金申請|条件と申請ポイントを詳しく解説
目次
はじめに
慢性腎不全により人工透析を受けている方にとって、障害年金は重要な生活支援制度です。人工透析による身体的負担や就労制限により、経済的な不安を抱える方も少なくありません。本記事では、人工透析患者の障害年金申請について、受給条件から申請手続きまで詳しく解説いたします。
人工透析と障害年金
人工透析は慢性腎不全の治療として欠かせない医療処置であり、週3回・1回4時間程度の治療が生涯にわたって必要となります。この治療により日常生活や就労に大きな制限が生じるため、障害年金制度の対象となっています。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取ることができる年金です。人工透析を受けている方は、その治療の特性上、原則として障害等級2級に認定される可能性が高い疾患です。
障害基礎年金2級の年金額は、令和7年度において年額831,700円(月額約69,308円)となっており、配偶者や子がいる場合には加算額も支給されます。また、厚生年金に加入していた期間がある場合は、障害厚生年金も併せて受給できます。
人工透析による障害認定基準
人工透析を受けている方の障害認定基準は、「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」において明確に定められています。
人工透析を実施している場合、その治療の困難性と日常生活への影響を総合的に評価し、原則として2級と認定されます。ただし、透析の実施のみで自動的に認定されるわけではなく、以下の要素が考慮されます。
- 透析の導入時期と継続期間
- 透析による日常生活活動の制限程度
- 就労状況への影響
- 合併症の有無と程度
- 社会復帰の状況
特に重要なのは、透析治療開始から3か月を経過した時点での状態評価です。この期間を経て病状が安定した状態で障害認定が行われます。
受給条件
障害年金を受給するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
初診日の証明
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師の診療を受けた日のことです。人工透析の場合、慢性腎不全の原因疾患(糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎など)で初めて医療機関を受診した日が初診日となります。
初診日の証明が困難な場合も多いため、以下の書類が重要になります。
- 受診状況等証明書
- 診療録(カルテ)
- 健康診断記録
- 人間ドック記録
- 母子健康手帳(先天性疾患の場合)
保険料納付要件
初診日の前日において、初診日が含まれる月の前々月までの国民年金の加入期間のうち、保険料納付済み期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あることが必要です。
ただし、令和8年4月1日前に初診日がある場合は、初診日において65歳未満であり、初診日の前日において、初診日が含まれる月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ受給要件を満たします(特例措置)。
障害認定日
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を過ぎた日、または症状が固定した日のいずれか早い日とされています。
人工透析の場合は、透析開始から3か月を経過した日が障害認定日となります。これは透析治療による症状の固定時期を考慮した特別な取り扱いです。
必要書類と診断書のポイント
診断書(透析専用様式)
人工透析患者の障害年金申請には、腎疾患・肝疾患・糖尿病用の診断書を使用します。この診断書には以下の重要な項目が含まれています。
透析に関する記載事項
- 透析導入年月日
- 透析の種類(血液透析・腹膜透析)
- 透析頻度と時間
- 透析効率の指標(Kt/V、urea除去率など)
- 透析に伴う合併症
検査数値の記載
- 血清クレアチニン値
- 尿素窒素(BUN)
- 血清アルブミン値
- ヘモグロビン値
- その他関連する検査数値
診断書作成時のポイントとして、透析による日常生活動作の制限程度を具体的に記載してもらうことが重要です。特に就労状況への影響について詳細な記載を依頼することで、認定の可能性が高まります。
初診日を証明する書類
初診日の証明は障害年金申請において最も重要な要素の一つです。以下の書類の準備が必要です。
受診状況等証明書
初診の医療機関で作成してもらう書類で、初診日と病名を証明します。医療機関が廃院している場合は、後継医療機関や関連機関での証明書取得を検討します。
受診状況等証明書が添付できない申立書
初診の医療機関で証明書が取得できない場合に提出する書類です。この場合、以下の参考資料を添付します。
- 2番目に受診した医療機関での受診状況等証明書
- 診療録の写し
- 検査結果
- 手帳等の記録
病歴・就労状況等申立書
この書類は申請者本人が作成し、発病から現在までの病状の変化、治療の経過、日常生活への影響を時系列で記載します。
記載のポイント
- 透析導入前後の症状の変化
- 透析による生活リズムの変化
- 就労状況の変化と制限内容
- 家事や外出等への影響
- 家族のサポート状況
特に人工透析の場合、透析日とそれ以外の日での体調変化、透析による疲労感、食事制限の影響などを具体的に記載することが重要です。
障害年金申請の流れ
必要書類の準備
申請に必要な書類は以下の通りです。
基本書類
- 年金請求書
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し
- 所得証明書(障害認定日以後のもの)
診断書・医療関係書類
- 診断書(腎疾患・肝疾患・糖尿病用)
- 受診状況等証明書
- 病歴・就労状況等申立書
- レントゲンフィルム等(必要に応じて)
その他の書類
- 振込先口座の通帳等
- その他個別に必要となる書類
年金事務所での相談
金沢年金事務所では、障害年金に関する相談を受け付けています。事前予約制となっているため、電話での予約が必要です。
相談時には以下の点を確認できます。
- 受給要件の確認
- 必要書類の案内
- 申請手続きの説明
- 初診日の考え方
- 保険料納付状況の確認
相談時間は限られているため、事前に質問事項を整理しておくことをお勧めします。
申請書類の提出
すべての書類が揃ったら、年金事務所に提出します。提出方法は以下の通りです。
提出先
- 金沢年金事務所
- 年金相談センター
- 郵送での提出も可能
提出時の注意点
- 書類の記載漏れや添付書類の不足がないか確認
- 診断書の有効期限(作成日から3か月以内)
- コピーを保管しておく
審査と受給開始
申請後、日本年金機構による審査が行われます。
審査期間:通常3か月程度の審査期間を要しますが、書類の不備や追加調査が必要な場合はさらに時間がかかることがあります。
結果通知:審査結果は「年金証書」または「不支給決定通知書」により通知されます。認定された場合、障害認定日にさかのぼって年金が支給されます。
支給開始:年金の支給は認定後、最短で50日程度で開始されます。支給は年6回(偶数月)に分けて行われます。
社会保険労務士に相談するメリット
必要書類の作成支援
障害年金申請には多数の書類が必要であり、それぞれに記載上の注意点があります。
社会保険労務士は、
- 診断書の記載内容について医師への助言
- 病歴・就労状況等申立書の作成支援
- 各種証明書の取得方法の案内
- 書類の整合性チェック
特に人工透析の場合、透析に関する専門的な記載事項が多いため、経験豊富な専門家のサポートが有効です。
初診日の証明に関するアドバイス
初診日の証明は障害年金申請における最難関の一つです。
社会保険労務士は、
- 初診日特定のための調査方法の案内
- 証明書が取得できない場合の対応策
- 参考資料の収集方法
- 申立書の作成支援
慢性腎不全の場合、糖尿病や高血圧などの基礎疾患から発症することが多く、真の初診日の特定には専門的な知識が必要です。
申請手続きの代行
社会保険労務士に依頼することで、
- 年金事務所での手続き代行
- 審査状況の確認
- 追加書類が必要な場合の対応
- 不支給の場合の不服申立て手続き
また、申請者やご家族の負担を大幅に軽減できるという利点があります。
初回無料相談開催中!
当事務所では、障害年金に関する初回無料相談を実施しております。人工透析を受けている方やそのご家族からのご相談をお待ちしています。
相談対象
- 人工透析を受けている方
- 慢性腎不全と診断された方
- 障害年金の受給可能性を知りたい方
- 申請手続きについて相談したい方
相談内容
- 受給要件の確認
- 必要書類の説明
- 申請スケジュールの提案
- 費用の説明
相談方法
- 面談(事前予約制)
- 電話相談
- オンライン相談
お気軽にお問い合わせください。
さいごに
人工透析による障害年金申請は、適切な準備と手続きにより受給の可能性が高い制度です。しかし、初診日の証明や必要書類の準備など、専門的な知識を要する部分も多くあります。
透析治療を受けながらの申請手続きは身体的・精神的な負担も大きいため、専門家のサポートを活用することをお勧めします。障害年金は皆様の生活を支える重要な制度です。諦めずに、適切な手続きを進めていきましょう。
ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。皆様の安心した生活のために、全力でサポートいたします。
投稿者プロフィール

- Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
-
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。
この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。
障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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