障害年金の永久認定が取り消しになるのはどんな時?対処法も解説します

「永久認定」になったから一生安心と思っていたのに、「永久認定じゃなくなった」と驚く方もいらっしゃいます。

実は、永久認定にも「再審査」や「変更」になるケースが存在しますね。

この記事では、障害年金の永久認定が取り消される主な原因や、再認定の可能性、誤解されやすいポイントまでを、体験談を交えながら解説します。

読めば「なぜ取り消されたのか」「これから何をすればよいのか」が明確になります。

 

障害年金で永久認定が取り消しになることとは

障害年金で永久認定が取り消しになることとは

障害年金における「永久認定」とは、今後も障害の状態が変わらないと見込まれ、更新(診断書提出)が不要とされる状態です。

つまり、次回の診断書提出期限が「なし」になっている人を指しますね。

一方「取り消し」とは、永久認定の扱いが解除され、再び「有期認定(更新あり)」に戻ることを意味します。

ただし、取り消されたからといって、すぐに年金の支給が停止されるわけではなく、支給自体は継続することがほとんどです。

 

障害年金の永久認定が取り消しになる主な理由

障害年金の永久認定が取り消しになる主な理由

永久認定が取り消されるケースには、いくつかの共通パターンがあります。

もっとも多いのは「額改定請求を行った場合」と「不正受給が発覚した場合」ですね。

 

障害年金の永久認定が取り消しになるケースの一例

理由 内容・背景 注意点
額改定請求を行った 症状の悪化を理由に等級変更を申請した結果、新たな審査が行われ、有期認定に戻されることがある 審査で「将来的な変動の可能性」があると判断されやすい
不正受給の発覚 虚偽申告・偽造診断書などによる受給が判明し、認定が取り消される 刑事罰・返還請求など重い処分が科される可能性がある

 

また、診断書を期限内に提出しなかったり、審査医が症状の改善を認めたときも取り消されることがあります。

それぞれの理由を具体的に見ていきましょう。

 

額改定請求を行った場合

障害の程度が重くなったとき、「額改定請求」を行うことで、等級を上げてもらえる可能性があります

障害給付 額改定請求書の記載例

額改定請求書※国民年金機構HPより

 

しかし、このときに再度審査が入るため、「永久認定」が一時的に取り消されてしまうことがあるんですね。

実際の例として、「2級で永久認定を受けていたが、症状悪化で1級を申請したら有期認定に変更された」という方もいます。

これは、新しい等級を認定する際に、将来的な変化の有無を再び確認する必要があるためです。

つまり、額改定請求をすることで、「今後も状態が変わらない」という保証が一度リセットされるイメージですね。

 

 

不正受給が発覚した場合

もう一つの大きな理由は、不正受給の発覚です。

たとえば、虚偽の申告や嘘の診断書を提出して受給した場合は、永久認定の取り消しどころか、過去にもらった年金+利息の返還請求が行われることもあります。

また、悪質なケースでは刑事罰が科される可能性もあるため、非常に重大な事案といえますね。

ただし、「正社員として働いている」「厚生年金を払っている」だけでは不正ではありません。

障害の状態が続いている限り、就労と受給は両立可能なケースも多いのです。誤解されやすい部分ですね。

 

 

障害年金の永久認定が取り消しになった後の対応と再認定

障害年金の永久認定が取り消しになった後の対応と再認定

有期認定に切り替わっても、状況次第で永久認定へ戻るチャンスは残ります。

焦らず次回更新に向けて記録と書類を整えることが第一歩ですね。

医師の診療録や日常生活の困りごとを、時系列で客観的に示せるよう準備しておきましょう。

更新時に「状態が固定・長期不変」と判断されれば、再度永久認定が見込めます。

 

有期認定になった後でも再び永久認定に戻ることはできる

一度有期に変わっても、次回の診断書審査で「改善見込みが乏しい」と評価されれば永久へ復帰できます。

服薬歴や通院間隔、増悪時のエピソードなど「変動が少ない証拠」を積み上げるのがポイントですね。

家族や支援者の第三者記述(日常生活状況の具体メモ)も整合性の裏付けになります。

“継続的な状態証明”をどれだけ丁寧に揃えられるかが大事です。

 

 

再認定のタイミング(更新時に診断書を提出)

基本は指定された更新月に「障害状態確認届(診断書)」を提出するプロセスです。

診断書様式や評価期間に合わせ、直近数か月の状態が読み取れる資料を同封できると安心ですね。

就労している場合は配慮事項や欠勤・早退の実態も記すと、“働ける=改善”という誤解を避けられます。

提出期限を過ぎると不利益が生じやすいので、逆算して医療機関の予約を早めに取りましょう。

 

永久認定の取り消しを防ぐためにできること

永久認定の取り消しを防ぐためにできること

障害年金の永久認定の取り消しを防ぐためにできることを書いていきます。

主に、↓のようなことが重要となってきますね。

 

永久認定の取り消しを防ぐためにできること

対策内容 実践方法 補足ポイント
額改定請求の慎重検討 有期に戻るリスクと等級アップのメリットを比較する 悪化の連続性や医療記録を整えてから申請する
診断書記載の事前対策 困りごとリスト・症状の詳細を主治医に伝え、記載のズレを防ぐ 抽象表現を避け、事実ベースの内容にする
就労状況の記録と共有 欠勤・配慮内容・体調の波などを医師と共有し、診断書と矛盾しないようにする 「働いている=元気」と誤解されない資料にまとめる
社労士などの活用 書類のチェック・申請書類の添削・リスク説明などの支援を受ける 第三者の視点での「抜け漏れ」対策として効果的

 

額改定請求を出す際は注意する

額改定は等級アップの可能性がある一方で、永久認定の“リセット”になり得ます。

提出前に「有期へ戻るリスク」と「増額のメリット」を天秤にかけ、目的を明確化することが重要ですね。

過去~直近の経過を、検査所見・服薬変更・生活能力の変化で客観化してから臨みましょう。

“悪化の連続性”を立証できない場合は、時期を見直す選択肢も検討してください。

 

診断書の記載内容を確認する

診断書は唯一無二の資料で、表現のニュアンスが結論を左右することもあります。

日内変動や支援がない場合の自立度、反復エピソードの頻度など、具体性があるほど誤解が減りますね。

受診前に「困りごとリスト」を医師と共有し、実態と記載のズレを最小化しておきましょう。

就労中なら配慮内容・欠勤状況・生産性の波も、事実ベースで提供しておくと安心です。

 

 

社労士など専門家に相談して申請を慎重に進める

制度・様式・期日の“型”を外さないために、第三者のチェックは有効です。

専門家は“通りやすくする魔法”ではなく、“不備や齟齬を減らす伴走役”としてアドバイスをしてくれます。

費用対効果も含めて比較し、必要な範囲でサポートを受けるのも現実的ですね。

 

【まとめ】障害年金の永久認定の取り消しはめったにないが、あるにはあります

【まとめ】障害年金の永久認定の取り消しはめったにないが、あるにはあります

障害年金の永久認定が取り消されるのは、「額改定請求」や「不正受給の発覚」など、制度上の見直しが入るときです。

ただし、取り消しは“支給の終了”ではなく、“有期認定への切り替え”にすぎない場合が多いですね。

実際に、有期になった後の更新で再び永久認定に戻るケースも存在します。

そのため、焦らずに自分の症状や生活の状態を丁寧に記録し、診断書や申請書の内容を正確に整えておくことが大切です。

また、「正社員で働いている=不正受給」ではありません。

障害の程度と仕事内容・勤務時間に一貫性があれば、適正な受給として認められることがほとんどですね。

誤解を避けるためにも、医師や社労士などの専門家と連携しながら、制度に沿った対応を取るようにしましょう。

永久認定が取り消されても、それは“終わり”ではなく“見直しのタイミング”にすぎません。

制度を正しく理解し、冷静に準備していけば、再び安定した受給につなげることができるはずですね。

最終更新日 6日

投稿者プロフィール

但馬 彰
但馬 彰Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。

この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。

障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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