知的障害で20歳以降でも、障害年金をもらうことはできるか?
目次
「知的障害がある場合、20歳以降でも障害年金は受給できるのだろうか」と不安に感じる方は多いです。
将来の生活費や自立の可能性を考えると、制度を理解することは大切です。
しかし、知的障害と障害年金は、初診日、障害等級、所得制限など複数の要素が絡み合うため、全体像が見えにくい制度です。
そこで本記事では、「知的障害の方は、20歳以降でも障害年金が受け取れるのか」を軸に、等級や支給額まで具体的に整理しますね。
知的障害の方は、20歳以降でも障害年金の受給は可能

知的障害であっても、20歳以降に障害年金を受給することは可能と言えます。
理由は、多くのケースが20歳前傷病に該当し、保険料納付要件を問われない仕組みになっているからです。
実際に、幼少期から療育を受けていた方が、20歳到達後に請求し受給に至る事例は少なくありません。
申請が20歳以降でも、初診日が20歳前であれば対象になる点が大きなポイントです。
障害年金請求事例 63
20歳以降に知的障害判明でも事後重症請求にて障害基礎2級認定
請求障害 知的障害
年額約79万円
認定期間4年
判定平均4.0 程度5⇒目安は1級
請求時点⇒無職
請求時点⇒服薬なし
請求時点⇒彼氏と同居
手帳⇒療育手帳B2知的障害とは?… pic.twitter.com/kDZ2JCccBh
— 社労士 島 宜宏 (障害年金のサポーター) (@DaoYihong) January 27, 2024
20歳前傷病に該当すれば納付要件は不要
20歳前傷病に該当すれば、原則として保険料納付要件は不要です。
通常の障害年金では、一定期間の保険料納付が求められますが、知的障害は発達期発症のため例外扱いです。
障害年金受給可否について
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 初診日 | 原則20歳前 |
| 保険料納付 | 原則不要 |
| 対象年金 | 障害基礎年金 |
| 等級 | 1級または2級 |
| 所得制限 | あり |
例えば、20歳まで学生で保険料を納めていなかった場合でも、制度上は不利になりません。
この特例は、発達障害や知的機能障害の特性に配慮した制度設計といえます。
障害等級1級・2級に該当することが条件
受給には、障害等級1級または2級に該当することが必要です。
なぜなら、障害基礎年金は1級と2級のみが対象だからです。
具体的には、食事・更衣・金銭管理などの日常生活能力が審査対象となります。
単に診断名があるだけでは足りず、生活上の制限が明確であることが求められます。
知的障害で先天性の場合、生れながらに障害を持っているので、20歳より前が「初診日」となり、障害基礎年金のみの受給となることがほとんどです。
☞参考記事:「【発達障害と知的障害で障害基礎年金2級】20代女性が年額83万円・初回420万円を受給できた実例(石川県金沢市)」
20歳到達で、請求手続きが必要
20歳に到達しただけでは、障害年金は自動的に支給されません。
受給要件を満たしていても、本人または代理人が年金事務所へ請求書を提出しなければ、支給は開始されません。
「20歳になれば自然にもらえる」と誤解している方も少なくありませんが、制度上は必ず手続きが必要です。
例えば、療育手帳を持っていても、医師の診断書や病歴・就労状況等申立書を提出しなければ審査は始まりません。
また、障害認定日請求を行えば、要件を満たしていた場合に遡及支給される可能性もあります。
したがって、20歳到達後に速やかに年金事務所へ相談し、必要書類を整えて請求することが重要ですね。
20歳以降での申請のとき、知的障害で障害年金等級の決まり方

知的障害の等級は、日常生活能力の程度で決まります。
IQの数値だけで決まるわけではなく、社会適応能力や援助の頻度が総合的に評価されます。
そのため、「知的障害は何級」と一律に断定することはできません。
ここでは、等級判断の目安を具体的に整理します。
重度で常時援助必要なら「1級」、援助あれば生活可能ならば「2級」になりやすい
重度で常時援助が必要な場合は1級、援助があれば生活可能な場合は2級になりやすいと言えます。
理由は、1級が「日常生活の用を弁ずることが不能に近い状態」、2級が「著しい制限がある状態」と定義されているからです。
例えば、金銭管理ができず常時見守りが必要であれば1級相当の可能性があります。
等級の目安表
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 日常生活 | 常時援助が必要 | 援助があれば可能 |
| 金銭管理 | ほぼ不可 | 制限あり |
| 就労 | 原則困難 | 簡易作業は可能な場合あり |
| 支給額 | 2級の1.25倍 | 基準額 |
一方、簡単な作業所勤務が可能であれば2級相当と判断されることが多いです。
IQは参考資料であり、決定打とはならない
IQは参考資料であり、決定打ではありません。
一般的にIQ35未満は重度、35〜50程度は中度と分類されますが、障害年金は生活機能重視です。
【一例】IQと等級の関係整理表
| IQ目安 | 医学的分類 | 年金等級の傾向 |
|---|---|---|
| 35未満 | 重度 | 1級の可能性あり |
| 35~50 | 中度 | 2級の可能性あり |
| 50~70 | 軽度 | 等級非該当もある |
同じIQでも、対人関係や就労状況で評価は変わります。
知能指数は一要素に過ぎず、日常生活能力が中心になる点を押さえておきましょう。
療育手帳と障害年金等級は、直接的に関係はない
療育手帳と障害年金の等級は別制度なので、直接に関係はないと言えます。
療育手帳は自治体制度、障害年金は年金法に基づく社会保険制度です。
例えば、療育手帳A判定でも障害年金2級というケースは珍しくありません。
両者は基準が異なるため、単純比較できない点が重要です。
等級判断の比較表
| 項目 | 障害年金 | 療育手帳 |
|---|---|---|
| 制度根拠 | 国民年金法 | 各自治体要綱 |
| 判定基準 | 日常生活能力 | IQ・発達指数中心 |
| 等級 | 1級・2級 | A・Bなど |
| 連動性 | 直接連動しない | 直接連動しない |
障害年金は療育手帳を含む障害者手帳とは【全くの別制度】です。療育手帳の等級が○なら、障害年金は○級といった対応関係はありません!「療育手帳がB2だと障害年金は受給できない」などの噂がありますが、軽度とされる知的障害でも受給事例は多くあるので、まずは申請に挑戦してみることが大切です!
— 障害年金【専門】社労士「松岡由将」 (@matsuoka_sr) May 3, 2024
知的障害で、20歳以降に障害年金を申請した場合の受給額

支給額は等級と加算要件で決まります。
障害基礎年金は定額制で、1級は2級の1.25倍とされています。
そのため、等級の違いが年間受給額に大きく影響します。
ここでは金額の目安と加算制度を整理します。
障害基礎年金1級は年100万円超、2級は年80万円後半
1級はおよそ年100万円超、2級は年80万円台後半が目安となります。
これは老齢基礎年金満額を基準に設定されているためです。
障害基礎年金の受給額【令和8年度】
| 障害等級 | 年額 | 月額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 | 88,260円 | 子の加算あり |
| 2級 | 847,300円 | 70,608円 | 子の加算あり |
例えば、2級であれば月額7万円前後、1級であれば約9万円前後になります。
正確な金額は年度改定により変動するため、最新額の確認が必要です。
※令和8年度の金額が振り込まれるのは、6月の振込分(4・5月分)からとなります。
子がいた場合、加算される
一定要件を満たす「子」がいる場合は障害年金の加算があります。
18歳到達年度末までの子、または20歳未満で障害状態にある子が対象です。
子がいた場合の障害年金の加算額表【令和8年度】
| 子の人数 | 年額加算 | 月額加算 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1人目 | 243,800円 | 20,316円 | 18歳到達年度末まで |
| 2人目 | 243,800円 | 20,316円 | 18歳到達年度末まで |
| 3人目以降 | 81,300円 | 6,775円 | 18歳到達年度末まで |
第1子・第2子には同額加算、第3子以降は別額が加算されます。
扶養関係が審査対象になる点も押さえておきましょう。
親と同居していても受給は可能
親と同居していても受給は可能です。
障害基礎年金は本人の固有の権利であり、同居の有無は直接の支給要件ではありません。
例えば、実家で生活し生活費を一部援助されていても受給は可能ですね。
ただし、20歳前傷病には所得制限があるため、本人所得には注意が必要とも言えます。
※親や家族の年収は、特に関係ありません。
【まとめ】知的障害で、20歳以降の申請で障害年金の受給はできる

知的障害であっても、20歳以降に障害年金を受給することは可能です。
重要なのは、初診日が20歳前であること、1級または2級に該当することです。
さらに、金額や加算、所得制限まで理解することで全体像が見えてきます。
制度を正しく把握し、必要に応じて専門家へ相談することが現実的な一歩となるとも言えますね。
最終更新日 23時間 ago
投稿者プロフィール

- Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
-
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。
この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。
障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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