精神疾患のある方、で障害年金3級を働きながら受給できるのかを解説

精神疾患を抱えながら働く方にとって、将来の経済的な備えとなる障害年金3級は重要な制度です。

しかし、「働いていると受給できない」という誤解から、申請を断念してしまうケースは少なくありません。

実際には、就労中であっても、その実態や制限の度合いによっては受給の可能性が十分に開かれています。

本記事では、働きながら障害年金3級を受給するための要件や、審査で重視される判断基準について要点を絞って解説します。

制度を正しく理解し、安定した生活基盤を築くための参考にしてくださると嬉しいです。

 

 

精神疾患のある方でも、障害年金3級は働きながら受給できる

精神疾患のある方でも、障害年金3級は働きながら受給できる

精神疾患を抱えながら働いている方でも、障害年金3級を受給することは十分に可能です。

なぜなら、障害年金3級の認定基準は「労働に著しい制限がある」状態を指しており、完全に無職であることを受給の絶対条件とはしていないからですね。

例えば、時短勤務を選択していたり、職場で周囲の特別な配慮を受けながら就労を継続していたりする場合、その労働の制限が認められれば、働きながらでも受給に至るケースは多く存在します。

したがって、現在働いているという事実だけで受給を諦める必要はなく、むしろ生活を支えるための正当な権利として検討すべきと言えるでしょう。

☞参考記事:「精神障害の障害年金3級でもらえる金額はいくらか解説」

 

 

3級は「労働に制限がある」状態なら受給のチャンスがある

3級は「労働に制限がある」状態なら受給のチャンスがある

 

障害年金3級の認定を受けるためには、仕事の内容や環境において何らかの支障が出ていることが前提となります。

精神疾患の影響によって、以前のようにフルタイムで働くことが困難であったり、単純な作業しかこなせなかったりする状況は、認定基準における「労働の制限」に該当するからですね。

具体的には、パニック障害で満員電車での通勤が困難なため在宅勤務を選択している場合や、うつ病の影響で集中力が続かず、細かなミスを連発してしまうような状況がこれに当たります。

このように、就労の形態や質において、病気によるマイナスの影響が生じているのであれば、3級受給の可能性は高く残されているのです。

 

厚生年金加入中に初診日があることが必須条件

障害年金3級を受給するための大前提として、原因となった病気で初めて病院を受診した日に厚生年金に加入している必要があります。

国民年金のみの加入期間に初診日がある場合は、障害基礎年金(1級・2級)のみが対象となり、制度上3級という区分が存在しないためですね。

例えば、会社員としてフルタイムで勤務している最中にメンタルヘルスの不調を感じて受診したならば、その後の就労状況がどうあれ、3級の受給権を得る土俵に立つことができます。

働きながら3級を目指す方は、まず自身の「初診日」において、厚生年金に加入していたかどうかを公的記録で確認することが、手続きの第一歩となりますね。

☞参考記事:「障害年金の受給要件について」

 

令和元年のデータでも、34.8%の人が就労している

精神疾患で障害年金を受給しながら働いている方は、決して珍しい存在ではありません。

厚生労働省が実施した「令和元年(2019年)年金制度基礎調査」によると、障害年金受給者のうち、精神障害・知的障害等のある方の就労率は34.8%にのぼっているからですね。

 

障害年金受給者(20~59歳)の就労率(障害等級別・障害種別)

令和元年 障害年金受給流の就労率※参考:厚生労働省資料より

 

これは、受給者の約3人に1人が、何らかの形で社会との接点を持ちながら生活しているという客観的な事実を示しています。

具体的には、就労継続支援などの福祉的就労だけでなく、一般企業で配慮を受けながら短時間勤務を行うなど、多様な働き方で年金と給与を併用している実例が数多く含まれているのです。

したがって、「働いているから受給できないのではないか」という不安は、この統計データを見れば、過度な心配であると言い切ることができるわけですね。

 

障害年金3級を、精神疾患のある方で働きながら受け取る際の判断基準

障害年金3級を、精神疾患のある方で働きながら受け取る際の判断基準

働きながら受給できるかどうかは、単なる収入の金額ではなく、その働き方の実態によって厳格に判断されます。

審査側は、本人が自力で健常者と同様に働けているのか、それとも周囲の多大なサポートがあってようやく成立しているのかという「援助の必要性」を重視するからですね。

例えば、職場で指導員が常に付き添って指示を出している場合や、体調不良による急な欠勤や早退が日常的に許容されている環境などは、実態として「障害がある」とみなされます。

つまり、形式上の就労の有無よりも、職場での具体的な困りごとや、どのような配慮を受けているかという実態こそが審査の核心となるわけですね。

 

就労状況が「援助や配慮」を必要としているかが重要

 

審査において最も重要な要素の一つは、職場でどのような「合理的配慮」を受けているかという点です。

たとえフルタイムに近い時間働いていたとしても、特別な配慮なしには就労が継続できないのであれば、障害の状態は重いと判断される傾向にあるからですね。

具体的には、音に敏感なため耳栓の使用が許可されている、指示を口頭ではなく必ず文書でもらうようにしている、あるいは休憩時間を多めに設定してもらっているといった細かな支援内容が該当します。

これらの配慮があるからこそ、かろうじて働けているという事実を、診断書や病歴・就労状況等申立書で克明に伝えることが、受給への最短距離となりますね。

☞参考記事:「精神疾患で、障害年金受給者はいくらまで働けるのかを徹底解明」

 

仕事の内容や勤務時間が審査に与える影響

勤務時間や仕事の難易度が、発症前と比較してどのように変化したかは、労働能力の喪失を証明する重要な指標となります。

一般雇用で健常者と同じ責任を負い、全く同じ時間働いている場合は、「労働能力あり」とみなされ、3級の認定すら難しくなるケースがあるからですね。

例えば、以前は管理職として部下のマネジメントを行っていた方が、現在は一般職としてルーチンワークのみに従事している、あるいは週3日の短時間勤務に変更しているといったケースは、労働能力の低下を客観的に示す実例となります。

自身の現在の仕事ぶりが、病気によってどれほど制限され、以前の状態から乖離しているかを定量的に示すことが非常に重要ですね。

 

【就労状況と認定の目安表】

雇用形態・状況 認定への影響 審査のポイント
障害者雇用 認定されやすい 職場での具体的な配慮内容や制限が重視される
就労継続支援(A・B型) 非常に認定されやすい 社会的適応が困難であり、福祉的就労である点
一般雇用(配慮あり) 個別に判断される 配慮がなければ継続できない理由を強調する
一般雇用(配慮なし) 認定が厳しい傾向 帰宅後の疲弊や私生活への支障を伝える必要がある

 

 

精神疾患のある方で、障害年金3級を働きながらもらうメリットと注意点

精神疾患のある方で、障害年金3級を働きながらもらうメリットと注意点

 

働きながら障害年金3級を受給することは、単なる経済的な補助を超えて、治療を継続する上での大きな安心感につながります。

万が一症状が悪化して働けなくなった際も、年金という安定した継続収入があれば、焦って無理な復職をして病状を再発させるリスクを大幅に減らせるからですね。

例えば、体調が優れない月は無理をせず仕事を休み、年金を治療費や生活費に充てるといった、自身の体調を最優先にした柔軟な生活設計が可能になります。

このように、障害年金は単なる金銭的メリットだけでなく、病気と共に生きていくための「生活の安全性」を担保する手段と言えますね。

 

 

「給与+年金」で生活の質を向上できる

 

障害年金3級という定期的な収入が加わることで、将来への漠然とした不安が軽減され、自己研鑽やリフレッシュに資金を充てることが可能になります。

精神疾患の治療には長い年月を要することが多く、経済的な困窮がストレスとなり、症状をさらに悪化させる一因になることも珍しくないためですね。

例えば、より専門的なカウンセリングを受けたり、栄養バランスの取れた食事を摂ったり、あるいは良質な睡眠環境を整えたりといった、健康維持のための投資ができるようになります。

安定した収入源を複数持つことは、精神的な回復を後押しし、社会復帰への意欲を高めるポジティブなサイクルを作り出すきっかけになります。

 

更新時に「就労=完治」と誤解されないための診断書のコツ

障害年金には数年ごとの更新がありますが、この際に「働けているからもう治った」と審査官に誤解されないよう、細心の注意が必要です。

実際の体調は不安定であっても、無理をして出勤している状況が診断書に正しく反映されないと、次回の更新で支給停止になるリスクがあるからですね。

具体的には、主治医に対して「職場ではなんとか耐えているが、帰宅後は疲弊して寝込んでいる」といった、目に見えない部分の苦労を正確に伝える必要があります。

診断書の「就労状況」の欄に、単に職種や勤務時間を書くのではなく、職場で受けている具体的な配慮や、仕事以外の時間で生じている不自由さを盛り込んでもらうことが、受給を継続する鍵となりますね。

☞障害年金の無料相談も行ってますので、お気軽にどうぞ^^

 

 

【まとめ】精神疾患のある方で、障害年金3級を働きながら受給することは可能

【まとめ】精神疾患のある方で、障害年金3級を働きながら受給することは可能

 

精神疾患を抱えながら社会の中で働くことは並大抵の努力ではありませんが、障害年金3級はその努力を支える強力なパートナーとなります。

本記事で解説した通り、3級は厚生年金加入者のための制度であり、働き方の実態や職場の配慮を適切に証明できれば、働きながらの受給は十分に可能です。

大切なのは、自分の病状と労働の制限を客観的に把握し、それを医師や審査機関に対して書面で正しく、かつ詳細に伝えることですね。

制度を正しく理解し活用することで、無理のない範囲で社会と関わりながら、精神的にも経済的にも安定した生活基盤を築いていきましょう。

最終更新日 2週間 ago

投稿者プロフィール

但馬 彰
但馬 彰Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。

この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。

障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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