精神疾患で、障害年金受給者はいくらまで働けるのかを徹底解明

精神疾患を抱えながら障害年金を受給されている方にとって、働くことへの不安は非常に大切な問題ですよね。

「少しでも社会と繋がりたい」「生活費を補いたい」という前向きな気持ちがある一方で、働き始めることで年金が止まってしまうのではないかという恐怖を感じている方も多いです。

特にネット上の情報では「いくら稼いだら支給停止になる」といった噂や、逆に「いくら働いても大丈夫」といった極端な意見が飛び交っており、どれを信じればよいか迷ってしまいます。

この記事では、精神疾患で障害年金を受給している方が、就労において直面する「金額」と「審査」のリアルな関係について、専門的な視点から詳しく解説していきます。

無理のない範囲で自分らしい働き方を見つけるために、まずは正しい知識を身につけて、将来への不安を解消していきましょう。

 

 

精神疾患で障害年金をもらいながらいくらまで働けるかの「金額の壁は基本的にない」

精神疾患で障害年金をもらいながらいくらまで働けるかの「金額の壁は基本的にない」

 

精神疾患による障害年金の受給において、一部の例外を除き、就労による収入額そのもので支給が停止される明確な「金額の壁」は存在しません。

これは障害年金が、所得の有無ではなく「障害の状態による日常生活や労働への支障度」を基準に支給を決定する制度であるためです。

例えば、厚生年金に加入してフルタイムに近い形で勤務していたとしても、それが直ちに支給停止に直結するわけではなく、あくまで傷病の状態が継続しているかが問われます。

したがって、一般的な受給者においては、収入の多寡を過度に危惧するよりも、自身の病状に見合った労働環境を確保することに注力すべきと言えます。

☞参考記事:「障害年金は、年収500万円でも受給できるのかを徹底解説」

 

原則として「いくらまで働けるか」という明確な所得制限はない

障害基礎年金および障害厚生年金には、原則として受給者本人の所得額に応じた支給停止の規定は設けられていません。

障害年金は、労働能力の喪失または制限に対する補填として支給されるものであり、就労の事実はあくまで「障害の状態」を判断する一要素に過ぎないからです。

具体的には、月収が20万円や30万円といった一定水準を超えたからといって、機械的に年金がカットされる仕組みにはなっていないことを理解しておく必要があります。

ゆえに、法令で定められた所得制限の対象者でない限り、稼げる金額に一律の制限はないと解釈して差し支えありません。

 

 

【例外】20歳前傷病の障害基礎年金における所得制限の基準

国民年金法に基づき、20歳前に初診日がある障害基礎年金の受給者に限っては、本人に一定以上の所得がある場合に支給が制限されます。

この制度は、受給者本人が保険料を納付していない期間の障害を国が補償するという性質上、他制度との公平性を保つために所得制限が設けられているのです。

以下の表に示す通り、前年の所得額に応じて「全額停止」または「半額停止」の措置が取られ、基準を下回れば翌年には支給が再開されます。

 

初診日が20歳前にある方の障害基礎年金の支給制限

所得制限の区分 所得額(単身者の目安) 年金の支給状態
二種制限(半額停止) 3,704,000円超
⇒年収(額面)だと約518万
年金額の50%が支給停止
一種制限(全額停止)

4,721,000円超
⇒年収(額面)だと約644万

年金額の全額が支給停止

※扶養親族がいる場合、一人につき所得制限額が38万円加算されます。

☞参考HP:日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」

 

精神疾患での障害年金では、いくらまで働けるかより「労働能力」が大切

精神疾患での障害年金では、いくらまで働けるかより「労働能力」が大切

 

精神疾患のある方の審査において最も重要なのは、収益の多寡ではなく、就労の実態から推察される「労働能力」の有無です。

精神疾患は外見から困難さが伝わりにくいため、数値化された給与額よりも、職場でどのようなサポートを受け、どのように業務を遂行しているかが重視されます。

例えば、高額な給与を得ていても、それが特例子会社での手厚い配慮や、頻繁な休憩・通院への理解に基づいている場合は、労働能力が十分であるとはみなされません。

そのため、いくら稼げるかという視点以上に、現在の働き方が「障害の状態」とどう整合しているかを客観的に把握することが重要です。

 

金額よりも「労働能力」が審査のポイントになる

日本年金機構の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、就労の有無だけで直ちに不支給としないことが明記されています。

これは、短期間の就労や、周囲の多大な援助があって初めて成立している労働は、本来の意味での「労働能力」の回復とは言えないためです。

具体例として、職場でマニュアル化された単純作業に限定されていたり、パニック症状を避けるための個室勤務が認められていたりする場合、その就労は配慮なしには継続困難であると評価されます。

したがって、単なる所得額の多寡よりも、就労における制約の実態こそが、等級維持の判断材料となります。

 

就労支援(A型・B型)や一般雇用の配慮の有無により、審査の重みが違う

就労形態が福祉的就労(就労継続支援A型・B型)であるか、それとも一般雇用であるかによって、審査における評価の重みは大きく異なります。

福祉的就労は、支援者が存在することを前提とした仕組みであるため、一般的に「日常生活に著しい制限がある」という評価を補強する材料となります。

一般雇用であっても、以下の表のような配慮を受けている場合は、その事実を詳細に申立書に記載することで、適正な判定を受けることが可能です。

 

雇用形態が障害年金の審査に影響する一般的な視点について

雇用形態 主な配慮・支援内容 審査における一般的な視点
就労継続支援A・B型 指導員による業務管理、福祉的配慮 労働能力は極めて限定的と判断
障害者雇用枠(一般) 合理的配慮、ジョブコーチの支援 援助があるため等級維持の可能性あり
一般雇用(配慮なし) 通常業務、フルタイム勤務 労働能力が回復したとみなされるリスク

 

精神疾患で障害年金を継続しつつ、いくらまで働けるか悩む方への注意点

精神疾患で障害年金を継続しつつ、いくらまで働けるか悩む方への注意点

受給を継続しながら就労を目指す際には、更新時に提出する書類の整合性と、医師との正確な情報共有に細心の注意を払う必要があります。

就労しているという事実が、書類上の情報不足により「寛解(治癒に近い状態)」と誤解されると、不本意な支給停止や等級降下に繋がるリスクがあるからです。

特に、無理をして働いている状況や、帰宅後に疲れ果てて日常生活に支障が出ているといった事実は、外部からは見えにくいポイントとなります。

安心して長く働き続けるためには、就労によって生じている反動や、継続に必要な支援体制を正しく言語化し、審査側に伝える準備が不可欠です。

 

更新時の診断書には「職場の配慮事項」を必ず記載する

障害年金の更新時に医師が作成する診断書には、職場での具体的な配慮や、仕事中の具体的な困難さを詳細に反映させることが極めて重要です。

診察室での会話だけでは医師に労働実態が伝わりきらないことが多いため、あらかじめ「配慮されている点」や「周囲の助け」を整理したメモを持参することをお勧めします。

 

職場での配慮の具体的例について

記載すべき項目 具体的な配慮・困難さの例 審査上のメリット
業務指示の工夫

口頭ではなく書面やチャットで指示を受けている。
一度に一つの作業のみ指示される。

理解力や記憶力への支障を証明できる。
勤務時間・休暇

頻繁な休憩が許可されている。
通院や体調不良による急な欠勤が容認されている。

労働の持続性が低いことを証明できる。
環境面での配慮

音や視線を遮るための個室やパーティションがある。
短時間勤務や在宅勤務が認められている。

通常の労働環境では困難であることを示せる。
対人関係・サポート

常にジョブコーチや支援者が付き添っている。
ミスをした際に周囲が全面的にカバーしている。

自力での遂行が困難であることを証明できる。

 

具体的には、指示の出し方の工夫や、ミスをした際の周囲の対応、さらには体調不良時の欠勤のしやすさなどを具体的に記載してもらうよう働きかけます。

これにより、単なる「就労中」という一言だけでは伝わらない、あなたの本当の障害状態を審査官に正しく理解してもらうことが可能となります。

☞参考記事:「障害年金を受給するためのポイントについて」

 

プロに相談して悩みを改善するのもおすすめ

就労と障害年金のバランスについて一人で悩み、不安がストレスとなって病状を悪化させてしまう場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することを検討するのも一つの手です。

専門家は最新の判定基準や、過去の支給事例を熟知しているため、現在の就労状況が更新時にどのような影響を及ぼすかを客観的に分析できます。

具体例として、診断書の修正依頼や、就労状況申立書の説得力ある作成方法など、法的・事務的な観点から具体的なアドバイスを受けることが可能です。

プロの知見を活用することで、将来への不安を軽減し、病気との付き合い方やキャリア形成に専念できる環境を整えることができます。

☞無料相談も行ってますので、お気軽にお問い合わせください^^

 

 

【まとめ】精神疾患で障害年金を受給しながらいくらまで働けるか、という「明確な所得制限」はない

【まとめ】精神疾患で障害年金を受給しながらいくらまで働けるか、という「明確な所得制限」はない

精神疾患による障害年金の受給において、一部の所得制限対象者を除き、収入額によって支給が制限されることはありません。

最も重要な判定基準は、稼いでいる金額ではなく、その労働がどのような配慮や困難さを伴っているかという「労働能力の実態」に集約されます。

更新時には、診断書や申立書を通じて、職場での配慮や日常生活への影響を正確に伝えることが、受給と就労を両立させるための最善の策となります。

制度を正しく理解し、必要に応じて専門家の助言を得ることで、経済的な支えを確保しながら、無理のない範囲で社会との接点を持つことが可能となります。

最終更新日 2時間 ago

投稿者プロフィール

但馬 彰
但馬 彰Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。

この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。

障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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