障害年金と障害者手帳、どっちを先に取得する方が良いのか?
目次
障害年金の受給と障害者手帳の取得を検討する際、「どちらを先に申請すべきか」「片方の結果がもう片方に影響するのではないか」と悩まれる方は少なくありません。
インターネット上では様々な情報が飛び交っていますが、実務においては両制度の持つ本質的な違いを正しく理解しておくことが極めて重要です。
一見すると密接に関係しているように思える2つの制度ですが、実は申請の順番や審査の仕組みには、多くの方が誤解しやすい重要なポイントが隠されています。
本記事では、手続きの迷いを解消しスムーズに受給・取得へと進めるよう、これら2つの制度の相互関係や判定基準の違いについて専門家の視点から詳しく解説します。
障害年金と障害者手帳はどっちが先?結論は「同時」に行うのが良い

障害年金と障害者手帳の申請で迷われた場合、効率的なのは「同時に申請を進めること」とも言えます。
なぜなら、この2つは根拠となる法律も審査を行う機関も完全に異なる独立した制度であり、どちらかの結果を待つ必要が一切ないからです。
実際に、同時に手続きを開始することで、医師に診断書を書いてもらう手間や通院の手間を一度にまとめることができ、心身の負担を大幅に軽減できます。
したがって、特に理由がない限りは、両方の手続きを同時に並行して進めていくのが最も賢明な選択肢となります。
同時に進めれば、負担が少なくなる可能性がある
障害年金と障害者手帳を同時に申請すると、手続きにかかる時間と費用の面において、負担が少なくなる可能性があります。
別々に申請を行うと、その都度、医師に診断書を依頼しなければならず、診断書費用の負担や病院への往復が倍になってしまいます。
精神的・身体的なエネルギーが低下している時期に、同じような書類作成の手続きを2回に分けることは大きな負担です。
一度の通院で両方の診断書を依頼し、並行して進めることが、最もスムーズに受給と交付にたどり着く方法とも言えます。
障害者手帳を先に取るべきケースとメリット
特定の状況においては、障害者手帳の申請を優先して先に取得した方が良いケースも存在します。
障害者手帳は障害年金に比べて審査期間が短く、申請から概ね1ヶ月から3ヶ月程度で交付されるため、早期に福祉サービスを受けたい場合に有効になる可能性があります。
例えば、公共交通機関の割引や携帯電話料金の減額、自治体独自の医療費助成などをすぐに利用したい場合は、手帳の取得を急ぐべきと言えます。
まずは手帳を確保して日々の生活コストを下げ、その後にじっくりと障害年金の準備に取りかかるという方法も十分に合理的です。
観光施設や市営バスみたいな乗り物,障害者手帳で半額かそれ以下(無料だったりする!)になってくれるの本当にありがとうございます
— まーたん (@maatan_223220) March 5, 2026
障害年金を先に申請するケースとメリット
経済的な困窮度が高く、生活費の確保を最優先にしたい状況であれば、障害年金の申請を先に、あるいは最優先で進めるべきです。
障害年金は受給が決定すれば、障害の程度に応じて2ヶ月に1回、まとまった現金が口座に支給されるため、生活基盤の安定に直結します。
手帳の割引サービスも魅力的ですが、毎月の家賃や食費、医療費の支払いに追われている段階では、年金による現金給付の方が圧倒的に救いとなります。
体力が限られている中でどちらか一方しか進められないのであれば、まずは経済的支柱となる障害年金の申請に力を使うのもありです。
僕は障害年金の収入だけで生計を立てていますが、障害年金は税法上の収入には認定されないので助かりますね
所得税や住民税がかからないのはもちろん、国民健康保険も低額なので助かってます
医療費全額無料(市独自の制度)であるのもありがたいです
いろいろ助けてもらっているので、お金貯めなきゃ— 生ける屍 (@Gjsm9G6ick33640) June 1, 2026
障害年金と障害者手帳をどっちが先かで迷った時の3つの判断基準

どちらの申請を優先すべきか、あるいは同時に進めるべきかを決めるためには、個人の状況に応じた明確な判断基準を持つことが重要です。
個々の病状や経済状況、現在の初診日からの経過日数によって、最適なアプローチは一人ひとり異なるからです。
具体的には、「時期」「必要なサービス」「自身の体力」という3つの視点から現在の状況を整理することで、進むべき方向性が自ずと見えてきます。
これら3つの基準を客観的に評価し、自分にとって最も無理がなく、かつ恩恵が大きい方法を選択してください。
基準①:現在の初診日から数えた「時期」で選ぶ

最初の判断基準は、その病気やケガで初めて医師の診察を受けた「初診日」から、現在どれくらいの期間が経過しているかという点です。
障害年金は原則として初診日から1年6ヶ月が経過した「障害認定日」以降でなければ申請することができません。
これに対して、障害者手帳(特に身体障害者手帳など)は、症状が固定していれば初診日からの期間に関わらず申請できる場合があります。
もし現在、初診日からまだ1年未満であるならば、年金は申請できないため、まずは手帳の申請から先に進めるのが正しい手順となります。
基準②:すぐに使いたい「割引・福祉サービス」で選ぶ
2つ目の判断基準は、自分が今まさに直面している困りごとを解決するために、どちらの制度の恩恵が必要かという点です。
障害者手帳を取得すると、所得税や住民税の軽減、公共料金の割引、障害者雇用枠への応募資格など、生活に密着した多様なサービスが利用可能になります。
一方で、これらの割引よりも、日々の生活費そのものが不足しており、現金での支援を切実に求めている場合は障害年金が必要です。
今すぐ目の前の支出を減らしたいのか、それとも収入の土台を作りたいのかによって、優先順位は変わります。
☞参考サイト:「障害者手帳で受けられる石川県の支援サービスや割引・減免制度一覧」
障害年金2級で受給されているなら手帳は2級になるので地下鉄無料になったりしますよー👍
自治体によって様々なサービスが受けられるようになるのでご確認下さい🙏
— バキバキング発達覚醒 (@bakibakingz) June 2, 2026
基準③:手続きに割ける「体力とサポート体制」で選ぶ
3つ目の判断基準は、申請手続きという非常にエネルギーを消費する作業に対して、現在の自分がどれだけ動けるかという点です。
障害年金の申請は、初診日の証明(受診状況等証明書)の取得や、これまでの病状を記録する「病歴・就労状況申立書」の作成など、手帳に比べて格段に複雑で手間がかかります。
もし自身の体力が著しく低下しており、身近に手伝ってくれる家族や社会保険労務士などの専門家がいない場合は、比較的ハードルの低い手帳申請から手をつけるのが現実的です。
自分の体調を最優先に考え、パンクしないような計画を立てることが不可欠です。
☞障害年金申請において、無料相談も行ってますので、お気軽にどうぞ^^
障害年金と障害者手帳はどっちが先かについて、片方の取得が審査に影響することはない

結論から申し上げますと、障害年金と障害者手帳は、どちらを先に取得してもお互いの審査結果に直接的な影響を与えることはありません。
なぜなら、これらは全く異なる法律に基づいて、異なる行政機関が、それぞれの独自の基準で審査を行っているからです。
例えば、手帳の等級が3級だからといって、障害年金の審査も自動的に3級になる、あるいは不支給になるといった連動性は存在しません。
それぞれの制度が個別に裁定を下すため、「片方に落ちたからもう片方も諦める」といった判断をする必要は全くありません。
障害年金と障害者手帳の比較まとめ
| 比較項目 | 結論・ポイント | 理由・詳細 |
| どっちが先?影響は? | 影響なし(どちらが先でもOK) | 法律・行政機関・審査基準がすべて異なるため。 |
| 手帳があると年金に有利? | 有利にならない | 年金審査で最も重要なのは「年金用の診断書」だから。 |
| 年金があると手帳に有利? | 原則なし(※精神障害は例外) | 【例外】精神障害年金プロセスの場合は、医師の診断書なしで同じ等級の手帳がスムーズに取得可能。 |
| 判定基準は同じ? | 共通ではない |
・年金:労働や日常生活の制限(経済・職業面) |
障害者手帳があると、障害年金は通りやすいというわけではない
障害者手帳を既に持っているからといって、障害年金の審査が有利になり、通りやすくなるということはありません。
障害年金の審査を行う日本年金機構は、手帳の有無やその等級を基準にして年金の支給・不支給を決定しているわけではないからです。
手帳の交付を受けている事実自体は申請書に記載しますが、審査で最も重視されるのは、あくまで「年金用の診断書」に記載された現在の日常生活能力の支障程度です。
したがって、手帳を保有していることに過度の期待を持たず、年金用の書類を不備なく揃えることに注力する必要があります。
☞参考記事:「障害者手帳をお持ちの方・取得をお考えの方へ」
障害年金を受給していると、障害者手帳取得に有利なわけではない
原則として、障害年金を受給しているからといって障害者手帳の審査が有利になるわけではありませんが、精神障害者保健福祉手帳においては例外的な手続きが存在します。
精神障害において障害年金を受給している場合、年金証書の写しを提出することで、医師の診断書なしで手帳の申請を行うことが可能となっています。
このケースに限っては、年金の等級(1級〜3級)と同じ等級の手帳が、実質的にそのまま交付されるため、新たに手帳用の診断書を取得する費用や手間が省け、経済的かつ簡潔に手続きを進めることができます。
ただし、身体障害や知的障害においてはこのような連動制度はないため、個別の審査を受ける必要があります。
障害年金と障害者手帳はどっちを優先するかの判断基準

自分の置かれている状況において、どちらの申請を最優先に動かすべきかは、獲得したいサポートの明確な目的によって決定されます。
生活の再建にはまとまった原資が必要なのか、それとも日々の固定費削減や就職への足がかりが必要なのか、優先順位を明確にすることが重要です。
医療費や生活費の不足による不安が大きい場合は金銭的支援を、介護サービスや福祉機器の利用が必要なら福祉サービスを、障害者枠での就労を目指すなら手帳を最優先にします。
このように目的を絞り込むことで、限られた体力の中でも迷うことなく最短ルートで手続きを進めることが可能となります。
生活費や医療費など「金銭的支援」を優先したい場合は「障害年金」

日々の生活費の工面に窮しており、経済的な自立や安心を何よりも求めている場合は、障害年金の申請を最優先にすべきです。
障害年金は、受給が認められれば生涯にわたって、あるいは更新時期が来るまで定期的にまとまった現金給付が行われる唯一の制度です。
手帳による各種割引も有益ですが、数千円の支出を削るよりも、数万〜十数万円の定期収入を得る方が生活の根本的な解決につながることは言うまでもありません。
医療費の支払いや家賃の支払いに不安を抱えている状況であれば、迷わず障害年金の書類準備から着手してください。
リハビリや現物支給など「福祉サービス」を優先したい場合は「障害者手帳」
金銭的な給付よりも、日々の生活を支えるための具体的な介護サービスやリハビリ、福祉機器の支給を求めている場合は、障害者手帳の取得を優先します。
手帳を保有することで、自治体が提供するホームヘルパーの派遣や、車椅子・補聴器などの補装具の購入費支給・助成を受ける権利がスムーズに得られます。
また、医療費そのものを助成してくれる「重度心身障害者医療費助成制度」の対象になるかどうかも、手帳の等級が基準となっているケースがほとんどです。
直接的な現金よりも、周囲のサポート体制や環境調整を急ぎたい場合は、手帳が強力な武器となります。
【まとめ】障害年金と障害者手帳はどっちが先かより、同時に申請を進めていこう

障害年金と障害者手帳は、どちらを先に取得すべきかという問いに対して、絶対的な正解となる順序は存在しません。
それぞれの制度が異なる目的と基準を持って運用されているため、ご自身の体調、経済状況、そして今すぐ必要としている支援の内容に合わせて柔軟に選択することがベストです。
一番のおすすめは両方を同時に申請することですが、手続きの煩雑さに圧倒されてしまう場合は、ハードルの低い方から一つずつクリアしていく方法でも全く問題ありません。
大切なのは、制度の仕組みを正しく理解し、自分にとって最も負担の少ない形で権利を行使することです。
最終更新日 5時間 ago
投稿者プロフィール

- Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
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私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。
この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。
障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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