ADHDで障害年金を永久認定にすることはできるのか?
目次
ADHD(注意欠如・多動症)に伴う生きづらさを抱えながら日々の生活や仕事に向き合う中で、障害年金の申請や今後の更新手続きについて考えている方は少なくないですよね。
障害年金には有期認定のほかに更新の手続きが不要となる永久認定という区分が存在しますが、発達障害の領域における実際の認定傾向がどのようになっているかは気になっている方は多いです。
当サイトでは、個人の方の申請にまつわる様々な発信や、実際の診断書で重視される日常生活能力の判定項目について詳しく整理をいたしました。
主治医の先生に現状を正しく伝えるためのコミュニケーションのポイントや、書類作成時に意識しておきたい実務上の注意点についても解説を交えて紹介していきますね。
ADHDで障害年金の永久認定を受給できる可能性はある

ADHD(注意欠如・多動症)において障害年金の永久認定を受給できる可能性は、制度上および実務上、否定されているわけではありません。
障害年金には、定期的な診断書の提出が免除される永久認定と、一定期間ごとに再審査が行われる有期認定の2つの区分が設けられています。
精神障害や発達障害の領域では有期認定となる割合が比較的高い傾向にありますが、要件を満たし、将来的な改善の見込みが乏しいと判断された場合には永久認定が適用される事例もみられます。
したがって、初めから可能性がないと断定するのではなく、客観的な事実に基づいて慎重に手続きを進めることが推奨されます。
ADHDなどの発達障害で永久認定を受給できる可能性はある
結論として、ADHDなどの発達障害であっても、個別の事案によっては永久認定を受給できる可能性は考えられます。
公的な障害認定基準において、発達障害を永久認定の対象外とする明文の規定はなく、審査において「これ以上の改善は見込めない」と判断されれば適用される仕組みです。
具体的には、成人期以降も長期間にわたって重篤な行動特性や認知の障害が持続しており、適切な医療や環境調整を行っても日常生活に著しい制限が残されているようなケースが挙げられます。
また、初回の申請時に有期認定となった場合であっても、その後の更新手続きの際に症状の固定性が認められ、永久認定へと移行する事例も存在します。
ADHD等の発達障害における日常生活能力の判定項目と評価基準の目安
| 評価項目 | 評価の内容と着眼点 | 実務上、制限があると判断されやすい目安 |
|---|---|---|
| 適切な食事 | 配膳や準備を含め、適当な量をバランスよく摂取できるか | 買い出しや調理ができず、家族の用意や促しがないと欠食・偏食が生じる状態 |
| 身辺の清潔保持 | 入浴、洗面、着替え、自室の清掃や片付けが適切に行えるか | 入浴や着替えの頻度が著しく落ちる、片付けができず衛生環境が乱れる状態 |
| 金銭管理と買い物 | 金銭を独力で適切に管理し、計画的なやりくりができるか | 衝動買いによる浪費、公共料金の滞納、計画的な買い出しが困難な状態 |
| 通院と服薬 | 規則的に通院し、医師の指示通りに用法・用量を守って服薬できるか | 飲み忘れや過剰服薬が生じる、通院日を管理できず外部の管理を要する状態 |
| 他人との意思伝達及び対人関係 | 他人の話を聞く、自分の意思を伝えるなど集団生活が可能か | 衝動的な発言による対人トラブル、意思疎通の困難による孤立やひきこもり状態 |
| 身辺の安全保持及び危機対応 | 事故や危険から身を守り、突発的な事態に適応・対応できるか | 不注意による怪我や事故のリスクが高い、不測の事態にパニックを起こす状態 |
| 社会性 | 公共施設の利用、社会的な手続き、規則やルールを守れるか | 役所での手続きを単独で行えない、社会的な約束や規則の遵守が困難な状態 |
質問等あれば答えます
28歳女性 都内一人暮らし
一般企業クローズ就労診断→ADHD
★障害年金2級 永久認定【約130万】
( 厚生45、国民78、給付金6 )
※自分で申請しました★手取り年収【約320万】
(20×12月+ボーナス80)★精神障害者手帳2級
※障害者控除はしてない★自立支援医療→年間4万
— ニートちゃん🎀働き始めました (@adhdnoneet) October 10, 2023
精神疾患・発達障害においては、正直「有期認定」が多くなる傾向がある
ADHDを含む精神疾患や発達障害の領域において有期認定が多くなる背景には、症状の可変性や環境による影響の大きさが挙げられます。
精神面の障害は、適切な投薬治療や心理社会的リハビリテーション、あるいは周囲のサポート環境の整備によって、適応状態が変化することが少なくありません。
審査機関としては、将来的に就労状況や私生活の制限が緩和される可能性を考慮する必要があるため、慎重を期して一定期間ごとの再審査を課す傾向があります。
このように、発達障害そのものは生涯続く特性である一方で、社会的な適応度が時期によって変動し得る点が、永久認定の判断を慎重にさせる要因とされています。
☞参考記事:「【ADHDで障害年金を受給】40代男性が3級認定&3年分の遡及で初回190万円を受給した実例(石川県金沢市)」
ADHDで障害年金を永久認定になるときの具体的な審査基準と条件

ADHDで障害年金が永久認定となるための具体的な審査基準は、障害の重篤度とともに、その状態が将来にわたって不変であるという客観的な証明にあります。
単に現時点で特定の障害等級に該当しているというだけでは不十分であり、将来的に障害の程度が軽減する可能性が極めて低いという予後の見通しが重視されます。
審査においては、本人の年齢、これまでの治療期間、受けた医療の内容、投薬に対する反応、そして単独での日常生活の困難さが総合的に考慮されます。
これらの要素から、医療を継続しても状態が好転する余地が乏しいと総合的に判断された場合に、永久認定が検討されることになるんですね。
審査の最重要ポイントは、「症状の固定性」と今後に改善する可能性があるか

永久認定の判断において実務上の最重要ポイントとなるのが、医学的な観点からの「症状の固定性」と「改善可能性の有無」です。
障害年金における症状の固定とは、これ以上治療を継続したとしても、その効果によって障害の程度が良くも悪くもならない状態に達していることを意味します。
ADHDにおいては、数年以上の長期にわたり適切な薬物療法や専門的なアプローチを継続しているにもかかわらず、生活上の支障が解消されていない実態が必要とされる傾向があります。
このように、十分な加療を経た上でもなお、認知機能や行動面の障害が不可逆的なレベルで固定していると認められることが、永久認定を検討する上での土台となります。
20代・30代の若年層でも永久認定となる可能性はある
20代や30代の若年層であっても、障害年金で永久認定となる可能性はあります。
しかし、やはり高齢層に比べて審査の視線はより慎重になる傾向もありますね。
年齢が若い場合は今後の人生が長く、医療技術の進歩や生活環境の変化、あるいは本人の適応力の向上によって、状態が好転する余地が残されていると判断されがちなためです。
ただし、幼少期から一貫して特別支援教育や専門的な治療を受けており、成人後も就労が全くできない状態が長期にわたって持続しているような客観的事実があれば別です。
若年層であることは審査において慎重に扱われる要因となりますが、これまでの治療実績と症状の固定度が明確に証明されれば、永久認定が考慮されるケースもあります。
☞参考記事:「軽度知的障害でも障害年金で永久認定されることはあるのか?」
友達は知的障害で永久認定になりました
— ゆり (@SYOKUINsyokuin) December 22, 2022
ADHDの障害年金で永久認定となるためにできること

ADHDの申請において永久認定を視野に入れる場合、書面を通じて自身の状態を正確かつ客観的に立証するための事前準備が重要となります。
障害年金の審査は原則として提出された書類のみで行われる「書面審査」であり、本人が直接面接を受けたり口頭で補足したりする機会はありません。
どれほど私生活において重大な支障が生じていたとしても、その実態が申請書類に適切に反映されていなければ、審査において考慮されることは困難です。
したがって、自らの障害の状態がいかに深刻であり、かつ将来にわたって変化しにくいものであるかを、書類上で論理的に構築していくアプローチが必要となります。
医師に現状を正しく伝える!「診断書」作成時に必ず伝えておきたいポイント
障害年金の審査において重要な書類として、医師が作成する「診断書」であります。
ここに永久認定を考慮するに足る医学的見解が記載される必要があります。
主治医に対して日頃から自身のADHDによる生活上の困難を正確に伝えておき、医師が今後の見通しを正しく判断できるよう、日頃から生活の困難さを詳しく伝えておくことが重要です。
具体的には、現在の医療水準において「症状は固定しており好転の見込みに乏しい」といった、客観的な意見を伝えることが大切となります。
医師が診察室での限られた会話から「状態は比較的安定している」と判断していると、有期認定を前提とした記載になることがあるため、事前の意思疎通が不可欠です。
主治医に伝えることや診断書に記載されるイメージ表
| 先生に伝える「お困りごと」の例 | 主治医にわかってほしいこと |
|---|---|
| 仕事がうまくいかない | ケアレスミス(忘れ物・遅刻・複数の指示で混乱)が多く、周囲の手厚いサポートがないと仕事を継続することが難しい。 |
| 家事や私生活がボロボロ | 食事・入浴・掃除・金銭管理などの日常生活を一人で安定して行うことが難しく、家族や支援者の援助を受けて生活している。 |
| 薬を飲んでもしんどい | 長期間、医師の指示どおり服薬や環境調整を続けているが、生活上の支障は依然として大きく、十分な改善がみられない。 |
| これからも続く不安 | 今後も通院・服薬・支援を継続しても、ADHDの特性による生活や就労上の困難が大きく改善する見込みは低い。 |
日常生活や就労における「生きづらさ」を病歴・就労状況等申立書に落とし込む
受給者側が自ら作成する「病歴・就労状況等申立書」は、医師の診断書を補完する重要書類であり、双方の内容に矛盾がないよう連動させることが大切です。
この申立書には、ADHDの特性である不注意や多動性が原因で、家庭生活や職場において具体的にどのような支障やトラブルが生じているかを時系列で記述します。
例えば、指示の不履行による業務への支障、対人関係の困難による離職の繰り返し、整理整頓が困難なことによる生活環境の悪化などを、具体的なエピソードを交えて記載します。
長年にわたり同様の生きづらさが一貫して継続している事実を示すことで、審査官に対して「定期的再審査を要さない状態」であることを伝えることができます。
一発での永久認定が無理でも「有期認定の更新時」に切り替わることもある
新規の障害年金申請において初めから永久認定を得られなかったとしても、その後の更新手続きのタイミングで永久認定へと切り替わるケースは珍しくありません。
初回申請時は「経過観察が必要」と判断されて3年や5年の有期認定となった場合でも、次回の更新時に提出する診断書で状態に変化がないことが示されれば、永久認定の可能性が生じます。
複数回の更新を経て、10年、15年と障害年金を受給し続けている実績そのものが、その障害の根深さと固定性を証明する強力な裏付けデータとして機能することがあります。
初回の結果が有期認定であったとしても落胆することなく、更新のたびに「症状が変化していない事実」を証明する診断書を提出し続けることが、最終的な永久認定への確実な道筋となります。
✅複数回の更新後に有期認定から永久認定になるケースはよくある
なお初回は有期認定であったものの、複数回の更新を重ねることによって有期認定から永久認定になるケースはよくあります。… pic.twitter.com/6wZEOr2Wfk
— 🎀みいちゃん🎀情報屋さん(かがみん) (@garo77712) May 31, 2025
ADHDの障害年金申請で永久認定となるにあたっての注意点

ADHDにおいて永久認定を希望するあまり、制度の仕組みや社会生活とのバランスを考慮せずに申請を行うと、思わぬ課題やリスクに直面することがあります。
障害年金は一度受給が決定すればすべての問題が解決するという単純なものではなく、本人の社会活動や就労の有無が、その後の認定に影響を及ぼす性質を持っています。
特に永久認定を意識して、自身の障害の状態を過度に誇張してアピールしようとすると、かえって書類全体の信憑性を疑われる原因になりかねません。
専門的な観点から、申請の過程および受給後における注意点とリスク管理について、あらかじめ正確に把握しておくことが求められます。
働き始めたからといって、永久認定は取り消されることはない
原則として、障害年金において「永久認定」が確定した後に就労を開始したとしても、それだけの理由で年金の支給が直ちに取り消されることはありません。
永久認定は定期的な更新手続きそのものが存在しないため、年金機構が受給者の就労状況を定期的に把握して自動的に等級を引き下げる仕組みにはなっていないためです。
ただし、永久認定であっても、障害の程度が著しく軽減したと客観的に判断できる重大な事実が判明した場合や、申請内容に疑義が生じた場合には例外的に再審査が行われるリスクは排除できません。
基本的には就労によって即座に権利が消滅する心配はないものの、就労継続支援での勤務や、周囲の配慮を受けながらの就労にとどめるなど、慎重な社会復帰が望ましいと言えますね。
☞参考記事:「精神疾患のある方で、障害年金3級を働きながら受給できるのかを解説」
「不支給」や「等級引き下げ」になってしまったときは、「不服申し立て」もできる

永久認定や特定の等級を想定して申請した結果、万が一「不支給」の通知が届いたり、想定より低い等級に認定されたりした場合は、法的な救済手続きを検討すべきです。
国が下した決定に不服があるときは、結果を知った日の翌日から起算して3か月以内に、不服申し立てである「審査請求」を社会保険審査官に対して行うことができます。
審査請求においては、当初の申請において審査側に十分に伝わらなかった部分や、立証が不十分であった点を補強するための客観的な証拠を追加提出して再審査を求めます。
この審査請求でも決定が覆らなかった場合は、さらに上位の機関である社会保険審査会への「再審査請求」へとステップを進め、再度判断を仰ぐ流れとなります。
障害年金の結果きて3級だった
2級もらえると思ってたから残念…
大変だけどこれから不服申し立てします涙
今のところNPO法人の障害年金支援ネットワークに相談しようと思ってるんですけど、ほかに相談できるところありますか?— クイニーアチン (@Yamai0101) June 3, 2024
自力での申請に限界を感じたら、社会保険労務士(社労士)へ相談するのも良い
ADHDの当事者が、実務上のハードルが高いとされる永久認定の手続きをすべて自力で行うことには、事務的にも精神的にも大きな負担が伴います。
障害年金業務に精通した社会保険労務士(社労士)に相談し、代理人として申請を委託することには、円滑な受給決定へ向けて手続きを進める上で大きなメリットがあります。
社労士は、ご本人の生活状況を客観的に整理し、医師へ実態を正確に伝えるためのサポートを行えるほか、『病歴・就労状況等申立書』の作成を支援することができます。
煩雑な行政手続きや書類収集のストレスから解放され、自身の状態に即した最善の結果を得るためにも、専門家の知見を活用することは有効な選択肢となります。
【まとめ】ADHDの方でも、障害年金の永久認定となる可能性はある

ADHDにおいて障害年金の永久認定を受給することは、決して不可能なことではなく、適切な立証によって実現する可能性はあります。
そのためには、自身の障害特性が将来にわたって改善しにくい「症状の固定性」を、医師の診断書や病歴就労状況申立書を通じて客観的に証明していく必要があります。
初回での受給が難しい場合であっても、有期認定の更新を積み重ねる過程で永久認定へと切り替わっていく道も用意されているため、長期的な視点を持つことが大切です。
手続きの複雑さや書面審査の基準に不安を感じた際には、障害年金の専門家である社会保険労務士への相談することも考えるのもありです。
最終更新日 1週間 ago
投稿者プロフィール

- Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
-
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。
この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。
障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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