障害年金と障害者手帳は同時に申請しても大丈夫なのか?
目次
病気やケガで日常生活や仕事に苦しんでいるとき、利用できる公的制度の手続きは一度に進めてしまいたいと考えますよね。
特に、経済的な支えとなる障害年金と、日々の負担を軽減できる障害者手帳の2つについては、同時に申し込んでも問題がないのか不安に思う方が非常に多いです。
手続きが複雑で頭がついていかないと感じる瞬間や、片方の審査に落ちたらもう片方もダメになるのではないかという恐れを抱くのは当然のことです。
本記事では、専門家の視点から、同時申請が問題あったりするのか、そして事前に知っておくべき実務的な注意点を網羅して解説します。
障害年金と障害者手帳は同時に申請できる

障害年金と身体障害者手帳(または精神障害者保健福祉手帳、療育手帳)は、どちらも同時に申請手続きを進めることが可能です。
これらは根拠となる法律や認定を行う機関がそれぞれ異なっており、双方の制度が独立して運営されているためです。
具体的には、障害年金は国(日本年金機構など)が審査を行い、障害者手帳は各地方自治体が審査を担当しています。
したがって、どちらか一方を申請中であるからといって、もう一方の申請が制限されることは一切ありません。
障害年金、障がい者手帳、就労支援、同時進行ですることになりました。頭がついていかない。障害年金については、最低一年位、それ以上と言われました。#脳脊髄液減少 #障害年金 #障害者手帳
— Yochi (@Yochi35982410) August 3, 2024
※申請内容によりますが、通常は3~6か月程度で結果が通知されるケースが多いです。
同時申請しても審査に不利になることもない

手帳と年金を同時に申し込むことによって、どちらか一方の審査が厳しくなったり不利に働いたりすることはありません。
それぞれ独立した基準に基づいて、異なる行政機関が個別に要件を満たしているかを判断しているためです。
例えば、精神障害者保健福祉手帳の申請を市役所で行っている最中に、年金事務所で障害基礎年金の請求書を出したとしても、それぞれの審査官は独自の基準で可否を決定します。
片方の手続きがもう一方の審査に悪影響を及ぼす構造にはなっていないため、安心して同時に手続きを進めてください。
☞参考記事:「障害年金と障害者手帳、どっちを先に取得する方が良いのか?」
障害年金は「所得保障」、障害者手帳は「福祉サービスの利用や税金の減免」を目的としている
障害年金と障害者手帳は、支給される支援の内容や目的が大きく異なる制度です。
障害年金は「所得保障」を目的として現金を定期的に支給する制度であり、障害者手帳は「福祉サービスの利用や税金の減免」を目的として発行されるものだからです。
具体的には、年金が受給できれば隔月で一定の現金が口座に振り込まれますが、手帳の場合は公共交通機関の割引や所得税・住民税の控除、福祉施設の利用などが主なメリットとなります。
このように、経済的な支えとなる年金と、生活の負担を軽減する手帳は、それぞれ異なる役割で生活を支えるものとなっています。
日常生活や就労に大きな支障がある場合は、すぐに同時申請しよう
病気やケガによって日常生活や就労に大きな支障が出ている方は、速やかに同時申請を検討するべきといえます。
経済的な不安と、日々の生活における実質的な不便さを、これら2つの制度によって同時に、かつ最短で解消する必要があるためです。
実際に、収入が途絶えて家賃や医療費の支払いに困窮していると同時に、通院のための交通費負担も重くのしかかっているようなケースが多々見受けられます。
こうした多面的な困りごとを一刻も早く解消するために、両方の制度へ同時にアプローチすることは非常に合理的です。
障害年金と障害者手帳を同時に申請する3つのメリット

障害年金と障害者手帳の同時申請には、手続きの効率化と早期に安心できるという大きなメリットが存在します。
同時に動くことで、別々に手続きを行う場合に比べて時間的なロスや労力を最小限に抑えることができるためです。
各制度で求められる証明や書類には共通する部分もあり、まとめて動くことが結果的に申請者側の負担を軽減します。
具体的なメリットの詳細は以下の通りであり、これらを理解することで同時申請の意義がより明確になります。
障害年金と障害者手帳を同時に申請するメリットの概要表
| メリット | 理由 | 同時申請のメリット |
|---|---|---|
| 診断書をまとめて準備できる | 両方とも診断書が必要だから | 診断書を一度に依頼でき、通院や手続きの負担を減らせる |
| 早く安心につながる | 一般的に手帳の方が審査が早いことが多いから | 手帳の減免制度を先に利用でき、年金の結果を待つ間も安心 |
| 生活を幅広く支えられる | 年金と手帳では支援内容が違うから | 年金で収入を補い、手帳で支出を減らせる |
診断書や医療機関の受診履歴を一度にまとめられる
同時申請を行う最大のメリットは、医師に書いてもらう診断書の発行依頼や、過去の受診履歴の整理を一度に集約できる点です。
どちらの申請においても、現在の障害の状態や初診日に関する医師の客観的な証明が必要不可欠となるためですね。
病院に対して「障害年金用」と「障害者手帳用」の診断書を同時に作成依頼すれば、医師も一度の診察やカルテ確認で両方の書類を書き進めることができます。
別々の時期に何度も病院へ足を運び、都度過去の経緯を説明する手間に比べると、医療機関とのやり取りが非常にスムーズになります。
どちらかが先に認定された場合、経済的・精神的に安心できる
2つの手続きを並行して進めることで、いずれか一方の交付が先に手元に届いた段階で、早期に一定の安心感を得ることができます。
障害年金と障害者手帳は審査にかかる期間が異なり、一般的には手帳の方が比較的早く手元に届くケースが多いためです。
年金の審査には通常3ヶ月から半年程度を要しますが、手帳であれば1ヶ月から3ヶ月程度で交付されることが一般的となっています。
まず手帳が交付されて税金や交通費の割引が始まれば、年金の審査結果を待つ間の精神的な焦りや経済的な負担を多少なりとも和らげることができます。
昨日、やっと障害者年金+勤務してた時の厚生年金の加算金の支給額が決定した。
一先ずは、ホッと一安心。#障害者年金 #厚生年金— カズタカ讃岐🥢◥█ (@jp_year) December 18, 2021
福祉サービスと生活費のサポートを両面からカバーしてもらえる

同時に申請して両方が無事に認められた場合、生活費の現金給付と現物給付(福祉サービス)の両面から手厚いサポートを受けることが可能になります。
障害年金による現金収入と、障害者手帳による支出削減効果が組み合わさることで、生活全体の安定度が飛躍的に高まるためです。
具体的には、以下のような支援を同時に受けることができるようになります。
収入を増やしながら支出を抑えるという一連の生活防衛策が同時に完成するため、両面からのカバーは非常に効果的です。
障害年金と障害者手帳を同時申請する際の注意点

同時申請には多くのメリットがある反面、事前に把握しておくべき注意点や初期負担といったデメリットも存在します。
これらを想定せず手続きを始めてしまうと、途中で資金が不足したり、書類の複雑さに挫折してしまったりするリスクがあるためです。
特に、申請の準備段階で発生するコストや窓口の違いは、申請者にとって実質的なハードルとなり得ます。
以下に挙げる注意点をあらかじめ正しく認識し、計画的に準備を進めることが大切ですね。
診断書の作成費用が重なる
同時申請を行う場合、初期費用として病院に支払う診断書の作成費用が一時期に集中して発生する点に注意が必要です。
診断書は公的医療保険の適用外(自由診療)となるため、1通あたり数千円から1万円程度の費用が自己負担となるためです。
年金用の診断書と手帳用の診断書を同時に依頼すると、窓口で1万円から2万円前後のまとまった費用を一度に支払わなければなりません。
受給の可否にかかわらず診断書作成費用は自己負担となるため、事前に資金を準備しておくことが大切です。
※実務上のポイント:精神疾患の場合、同時申請をする際に『障害年金用の診断書のコピー』を添付することで、手帳用の診断書を省略できる自治体が多くあります。これを利用すれば、診断書代を1通分(数千円〜1万円程度)節約できるという大きな経済的メリットがあります!(※身体・知的障害の場合は原則それぞれ専用の診断書が必要です。また自治体によって運用が異なるため、事前の確認をおすすめします)
申請窓口や必要書類が異なるため準備が複雑になる
同時に手続きを進める際、提出先の窓口や記入すべき書類の様式がそれぞれ異なるため、わかりにくいというデメリットがあります。
障害年金は年金事務所や市区町村の年金課が窓口となり、障害者手帳は市区町村の障害福祉課などが窓口となるためですね。
それぞれの窓口で異なる申請書を手に入れ、それぞれのルールに従って添付書類(住民票や所得証明書など)を揃えなければなりません。
提出先を間違えたり、書類の不備で何度も窓口を往復したりするリスクがあるため、事前のタスク整理が極めて重要です。
片方が不支給になっても、もう片方の審査には影響しない
万が一、どちらか一方の制度が不支給(非該当)となってしまった場合でも、もう片方の審査には直接的な影響を与えないことを知っておく必要があります。
前述の通り、審査の基準や認定を行う主体が全く異なる仕組みになっているためです。
例えば、障害者手帳が不交付、あるいは軽い等級で認定されたとしても、障害年金の審査で2級や3級に認定される事例は珍しくありません。
片方の結果に一喜一憂して、もう一方の手続きを途中で諦めてしまう必要は全くなく、それぞれ独立したものとして結果を待つ姿勢が大切です。
☞参考記事:「障害者手帳が3級であっても、障害年金2級は受け取れるのか?」
障害年金と障害者手帳の同時申請をスムーズに進めるコツ

同時申請をトラブルなく円滑に完了させるためには、いくつかの実務的なテクニックやコツを押さえておきましょう。
行き当たりばったりで進めると、書類の整合性が取れなくなったり、医療機関との連携がうまくいかなくなったりするためです。
特に、医師への明確な意思表示と、手続きの優先順位を間違えないことが大切です。
専門家の視点から、失敗を避けるための具体的アプローチを解説します。
主治医に「両方同時に申請する」と事前に伝える
診断書の作成を依頼する段階で、主治医に対して「障害年金と障害者手帳を同時に申請したい」という旨を明確に伝えておくことが重要です。
医師が両方の制度の趣旨を理解した上で診断書を記載することで、それぞれの制度の目的に合わせて、生活の困りごとがより正確に反映されやすくなるためです。
医療機関によっては、それぞれの診断書を作成する担当部署や確認プロセスが分かれている場合もあります。
事前に方針を共有しておくことで、病院側の事務手続きもスムーズになり、診断書の仕上がりまでの期間を短縮することに繋がります。
初診日の証明(受診状況等証明書)を最優先で確保する
手続きを開始するにあたって、障害年金で極めて重要となる「初診日」の証明書類(受診状況等証明書)を最優先で取得してください。
障害者手帳の申請では初診日の証明を細かく求められないことが多いですが、障害年金においては初診日が特定できなければ不支給となるためです。
もし初診の病院と現在の病院が異なる場合、まずは過去の病院から証明書を取り寄せる必要があります。
この初診日特定の手続きを最優先で終わらせておくことが、年金と手帳の同時申請を滞りなく進めるための大前提となります。
複雑な手続きは社会保険労務士などの専門家に相談する
書類の作成や窓口との交渉に少しでも不安を感じる場合は、障害年金の専門家である社会保険労務士(社労士)に相談するのも1つの手です。
特に障害年金の申請書類は専門性が高く、等級や受給に影響することが多いためです。
社労士に依頼すれば、年金用の書類作成やヒアリングをもとに『病歴・就労状況等申立書』の作成をサポートしてもらうことができます。
手帳の申請に関するアドバイスも同時に受けられるケースが多く、申請者自身の精神的・肉体的負担を大幅に軽減することが可能です。
障害年金通りました!
3級やけどだいぶ助かる。
勇気出して申請して良かった。
社労士さんありがとうございます。#障害年金 #うつ病 #不安障害— xxx20 (@xxx20xxxk) April 25, 2023
【まとめ】障害年金と障害者手帳の同時申請で一歩進んだ安心を手に入れよう

障害年金と障害者手帳の同時申請は、生活の安定と福祉の充実を最短で実現するための非常に有効な選択肢です。
それぞれの制度が異なる目的と窓口を持っているからこそ、同時に動くことで手続きの効率化と多角的なサポート体制を一度に構築できます。
診断書費用の負担や窓口の複雑さといった注意点はあるものの、それらを上回るメリットが同時申請には存在します。
もし一人での手続きが困難であると感じた場合は、躊躇せずに社会保険労務士などの専門家を頼っていきましょう。
最終更新日 1週間 ago
投稿者プロフィール

- Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
-
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。
この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。
障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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