障害年金と障害者手帳は同時に両方もらう(受給)ことはできるのか?

「障害者手帳を持っていると、障害年金も受給できるのだろうか」と疑問に思う方は少なくありません。

また、「障害年金を受給すると、障害者手帳は使えなくなるのではないか」と心配する方もいるでしょう。

障害年金と障害者手帳には、それぞれ異なる認定基準や手続きがあるため、両者の関係は少しわかりにくい部分があります。

この記事では、障害年金と障害者手帳を両方もらう場合の考え方や等級、申請方法、注意点について解説します。

 

 

障害年金と障害者手帳は両方もらうことができる

障害年金と障害者手帳は両方もらうことができる

障害年金と障害者手帳は、それぞれの要件を満たしていれば併用できます。

障害者手帳を取得していることだけを理由に障害年金が支給されなくなるわけではなく、反対に障害年金を受給していることだけを理由に障害者手帳を取得できなくなるわけでもありません。

障害年金は公的年金制度、障害者手帳は障害のある方に対する福祉制度として、それぞれの制度に基づいて認定されます。

そのため、障害年金と障害者手帳を両方もらうことを検討するときは、それぞれの認定要件を分けて確認することが重要です。

 

障害年金と障害者手帳は全く別の制度

障害年金と障害者手帳は、障害のある方を対象としている点では共通していますが、同じ制度ではありません。

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、一定の要件を満たす方が受給できる公的年金です。

一方、障害者手帳には身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳があり、それぞれ異なる制度に基づいて認定・交付されています。

したがって、一方の認定結果だけで、もう一方の受給・取得が自動的に決まるものではありません。

☞参考記事:「障害年金と障害者手帳の違いについて」

 

障害者手帳を持っていなくても障害年金は受給できる

障害者手帳を持っていない方でも、障害年金の受給要件を満たしていれば請求できます。

障害年金では、初診日、保険料納付要件、障害の程度など、法令等で定められた要件をもとに受給権が判断されるためです。

そのため、「障害者手帳を取得していないから障害年金を請求できない」と考える必要はありません。

まずは初診日や加入していた年金制度、現在の障害状態などを整理し、障害年金の受給要件に該当するかを確認することが大切です。

☞参考記事:「障害年金を受給するには、障害者手帳がなければいけませんか。」

 

障害年金を受給していても障害者手帳を取得できる

障害年金を受給している方でも、障害者手帳の認定基準を満たしていれば手帳を取得できます。

障害年金を受給しているという理由だけで、障害者手帳を申請できなくなる制度ではありません。

たとえば精神障害者保健福祉手帳では、一定程度の精神疾患の状態にあることなどをもとに認定が行われます。

障害年金と障害者手帳の双方に該当する可能性がある場合は、一方だけで判断せず、それぞれの制度について申請の可否を確認しましょう。

☞参考記事:「障害年金の受給要件について」

 

障害年金と障害者手帳を両方もらう場合の等級の関係

障害年金と障害者手帳を両方もらう場合の等級の関係

障害年金と障害者手帳の「○級」という数字は、原則として同じ意味ではありません。

それぞれ異なる制度であり、障害状態を認定する基準や等級区分にも違いがあるためです。

たとえば身体障害者手帳の等級と障害年金の等級を、数字だけで単純に対応させることはできません。

ただし、精神障害者保健福祉手帳については、精神疾患を支給事由とする障害年金の年金証書等を利用して申請する仕組みがあるため、個別に確認が必要です。

 

障害年金と障害者手帳の等級は必ずしも一致しない

障害年金と障害者手帳での等級違い

障害年金と障害者手帳では認定制度が異なるため、等級は必ずしも一致しません。

「障害者手帳が2級だから、障害年金も必ず2級になる」という考え方ではない点に注意が必要です。

障害年金では、障害認定基準などに基づいて障害の状態が審査されます。

一方、障害者手帳については手帳の種類ごとに認定基準が設けられているため、等級の数字だけを比較しないことが重要です。

 

障害者手帳の等級だけで障害年金の等級は決まらない

障害者手帳の等級だけを根拠として、障害年金の等級がそのまま決定されるわけではありません。

障害年金では、提出された診断書などをもとに、障害認定基準に照らして障害状態が審査されます。

たとえば身体障害者手帳の等級が重い場合であっても、それだけで障害年金の同じ等級に認定されるとは限りません。

障害年金を請求するときは、手帳の等級だけではなく、障害年金独自の認定基準を確認する必要があります。

 

障害年金では日常生活や労働への支障なども審査される

障害年金の審査では、傷病や障害の種類に応じた障害状態が確認されます。

特に精神の障害などでは、病状だけではなく、日常生活にどの程度の制限が生じているかなども重要な判断材料になります。

食事、清潔保持、金銭管理、通院・服薬、対人関係など、実際の日常生活の状況が診断書に記載される場合があります。

障害年金を請求する際は、単に病名や手帳の等級を見るのではなく、障害によって日常生活や社会生活にどのような制限が生じているのかを整理することが大切です。

 

障害年金と障害者手帳の主な違い

項目 障害年金 障害者手帳
制度 公的年金制度 障害福祉に関する制度
主な種類 障害基礎年金・障害厚生年金 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳
等級 障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級・2級・3級 手帳の種類によって異なる
主な手続き先 年金事務所、市区町村窓口など 原則として自治体の担当窓口
両方の利用 要件を満たせば可能 要件を満たせば可能

 

障害年金と障害者手帳を両方もらう場合の申請方法

障害年金と障害者手帳を両方もらう場合の申請方法

障害年金と障害者手帳を両方もらう場合は、それぞれ必要な手続きを行うのが基本です。

両者は同一の制度ではないため、一方を申請すれば、もう一方の申請も自動的に完了するわけではありません。

また、必要となる診断書や申請書類、提出先にも違いがあります。

申請を検討するときは、障害年金と障害者手帳の必要書類を混同しないように準備しましょう。

 

障害年金の申請に必要な主な書類と手続き

障害年金の請求では、年金請求書のほか、診断書や受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書などが必要になる場合があります。

ただし、必要書類は傷病や請求方法、初診日の状況などによって異なるため、すべての方が同一の書類を提出するわけではありません。

特に初診日は、障害基礎年金と障害厚生年金のどちらの制度で請求するのかを判断するうえでも重要な事項です。

実際に請求するときは、年金事務所などで必要書類を確認したうえで準備するとよいでしょう。

☞参考記事:「障害年金申請で必要な書類等について」

 

障害年金の申請に必要な主な書類

書類 内容・役割 補足
年金請求書 障害年金を請求するための基本となる書類 障害基礎年金・障害厚生年金など、請求内容に応じた様式を使用
診断書 現在の障害状態や日常生活・労働への影響などを医師が記載する書類 障害の種類によって診断書の様式が異なる
受診状況等証明書 初診日や初診時の医療機関を確認するための書類 原則として、診断書を作成した医療機関と初診時の医療機関が異なる場合などに必要
病歴・就労状況等申立書 発病から現在までの受診歴や、就労・日常生活の状況などを申告する書類 本人側から障害状態の経過を伝える重要な資料
戸籍謄本など 生年月日や身分関係などを確認する書類 加算対象となる配偶者・子がいる場合など、請求内容によって必要
本人名義の金融機関口座が確認できるもの 障害年金の振込先を確認するために使用 通帳やキャッシュカードなどで確認する場合がある
その他の添付書類 請求内容に応じて必要となる書類 交通事故などの第三者行為による障害など、個別事情によって追加書類が必要になる場合がある

 

障害者手帳の申請に必要な主な書類と手続き

障害者手帳の手続き申請の流れ

障害者手帳の申請方法や必要書類は、取得する手帳の種類によって異なります。

たとえば身体障害者手帳では、指定医師の診断書・意見書や写真などを用意し、福祉事務所や市区町村の窓口などで申請します。

精神障害者保健福祉手帳については、市町村の担当窓口を経由して申請する仕組みとなっています。

療育手帳については自治体によって運用方法が定められているため、住所地を管轄する自治体の担当窓口で確認してください。

☞参考記事:「障害者手帳の手続きの流れについて」

 

障害年金と障害者手帳を両方もらう際によくある疑問

障害年金と障害者手帳を両方もらう際によくある疑問

 

障害者手帳がないと障害年金の審査で不利になる?

障害者手帳を持っていないことだけを理由に、障害年金を受給できないと判断されるものではありません。

障害年金は、障害年金の受給要件や障害認定基準に基づいて審査されるためです。

そのため、障害者手帳を取得していない方であっても、障害年金の受給要件に該当すると考えられる場合は請求を検討できます。

手帳の有無だけで自己判断せず、初診日や保険料納付状況、障害状態などを確認しましょう。

☞参考記事:「障害年金と障害者手帳、どっちを先に取得する方が良いのか?」

 

障害者手帳を返還すると障害年金も受給できなくなる?

障害者手帳を返還したことだけを理由として、障害年金の受給権が自動的になくなるわけではありません。

障害年金と障害者手帳は異なる制度であり、それぞれの基準に基づいて認定されているためです。

障害年金については、必要に応じて障害状態確認届などにより、その後の障害状態が確認されることがあります。

したがって、障害年金を引き続き受給できるかどうかは、手帳の所持状況だけではなく、障害年金制度上の取扱いによって判断されます。

 

障害年金を受給すると障害者手帳の等級に影響する

障害年金を受給しただけで、すべての障害者手帳の等級が自動的に変更されるわけではありません。

身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳は、それぞれ認定の仕組みが異なるためです。

ただし、精神障害者保健福祉手帳では、精神障害を支給事由とする障害年金の年金証書等を用いて申請する方法があります。

この方法を利用する場合には障害年金の等級が手帳の認定に関係するため、申請先の自治体で手続きの詳細を確認してください。

精神疾患の場合、障害年金の受給が決定していれば、『年金証書のコピー』を提出することで手帳用の診断書を省略して申請できる仕組みがあります。

これにより、手帳用の診断書代(数千円〜1万円程度)が節約できるだけでなく、手帳の等級も年金と同じ等級でスムーズに認定されるという大きなメリットがあります。

ただし、交付される手帳の有効期限が『次回の障害年金の更新時期』に合わせられるため、通常(2年)よりも有効期限が短くなってしまうケースがある点には注意が必要です

 

【まとめ】障害年金と障害者手帳は両方もらうことができる

【まとめ】障害年金と障害者手帳は両方もらうことができる

障害年金と障害者手帳は異なる制度であり、それぞれの要件を満たしていれば両方を利用できます。

一方の等級や取得状況だけで、もう一方の認定結果が決まるとは限りません。

両方の申請を検討している方は、障害年金の受給要件と障害者手帳の認定基準をそれぞれ確認し、必要な手続きを進めましょう。

最終更新日 1か月 ago

投稿者プロフィール

但馬 彰
但馬 彰Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士(石川県社会保険労務士会所属 社労士登録番号 17220008)
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。

この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。

障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
ご相談のご予約
070-9015-5632

受付時間:平日9:30~16:30
(20時~22時は電話・メール・
オンライン対応が可能)