肺気腫でもらえる障害年金の金額はどれくらいなのか?

肺気腫と診断され、息苦しさや咳、痰などの症状によって仕事や日常生活に支障が生じている場合、「障害年金を受け取れるのだろうか」「受給できるなら金額はいくらなのだろうか」と気になる方もいるでしょう。

肺気腫は障害年金の対象となる呼吸器疾患の一つで、症状によっては受給できる可能性があります。

ただし、病名だけで受給できるわけではなく、呼吸機能の検査結果や日常生活の状況、治療経過などを総合的に確認して障害等級が判断されます。

ここでは、肺気腫における障害年金の金額や認定基準、請求手続きについて、制度に沿って整理します。

 

 

肺気腫の障害年金の金額は等級によって決定する

肺気腫の障害年金の金額は等級によって決定する

 

肺気腫は、障害年金の認定対象となる呼吸器疾患に含まれます。

ただし、実際に受給できる金額は、障害基礎年金なのか障害厚生年金なのか、また何級に認定されるのかによって異なります。

令和8年度の障害基礎年金は、1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円で、一定の要件を満たす子がいる場合には子の加算額が上乗せされます。

 

【令和8年度】障害年金の受給額イメージ図

令和8年度 障害年金 受給額 金額

厚生年金加入中に初診日がある場合は、障害厚生年金の対象となる可能性があり、1級・2級では障害基礎年金もあわせて支給されます。

☞参考HP:日本年金機構

 

※「CODP(肺気腫)」とありますが、正しくは「COPD(肺気腫)」です。

 

障害年金は等級によって受給できる金額が異なる

障害年金の金額は、認定された障害等級と加入していた年金制度によって決まります。

障害基礎年金は1級と2級が対象で、障害厚生年金は1級から3級までが対象です。

そのため、肺気腫によって同程度の症状がある場合でも、初診日に加入していた年金制度によって受給額が異なることがあります。

令和8年度の障害基礎年金については、1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円です。

☞参考記事:「障害年金の種類について」

 

障害年金の受給額イメージ表

障害等級 障害基礎年金 障害厚生年金
1級 年額1,059,125円 報酬比例の年金額×1.25+加給年金額
2級 年額847,300円 報酬比例の年金額+加給年金額
3級 なし 報酬比例の年金額
障害手当金 なし 一時金として支給される場合あり

※令和8年度の金額です。
※障害厚生年金は加入期間や給与などをもとに計算されるため、一律の金額ではありません。
※障害厚生年金3級には最低保障額があり、令和8年度は昭和31年4月2日以後生まれの方で年額635,500円です。
※参考HP:日本年金機構

 

認定の基準は「検査成績」や「自覚症状」、「日常生活状況」など総合して決定される

※参考HP:日本年金機構「第10節/呼吸器疾患による障害」

肺気腫による障害等級は、単純に「肺気腫と診断されたかどうか」で決まるものではありません。

呼吸器疾患については、自覚症状や他覚所見、検査成績、一般状態、治療や病状の経過、合併症、具体的な日常生活状況などを総合して認定します。

呼吸不全については、動脈血ガス分析値や予測肺活量1秒率などの検査結果も認定における重要な資料となります。

そのため、検査数値だけで等級が機械的に決まるものではなく、実際の生活状況も含めて判断されます。

☞参考記事:「障害年金の受給要件について」

☞参考記事:「働きながらでも、障害年金2級は受給できるのかをまるっと解説」

 

肺気腫の障害年金において、さらに詳細な認定基準

肺気腫の障害年金において、さらに詳細な認定基準

肺気腫で障害年金を請求する場合、検査結果だけで障害等級が決まるわけではありません。

呼吸器疾患による障害は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療や病状の経過、合併症、具体的な日常生活状況などを総合して認定されます。

そのため、肺機能検査の数値だけでなく、息切れや呼吸困難の程度、日常生活への影響なども含めて障害状態を整理する必要があります。

ここでは、肺気腫の障害年金で確認される主な項目を順番に解説します。

☞参考記事:「障害年金の認定方法や等級について」

 

肺気腫による呼吸機能の障害が認定で重視される

肺気腫では、呼吸機能がどの程度低下しているのかを確認するため、動脈血ガス分析値や予測肺活量1秒率などの検査結果が判断材料になります。

動脈血ガス分析とは、血液中に含まれる酸素や二酸化炭素の状態を調べる検査で、呼吸不全の程度を確認するために用いられます。

障害認定基準では、動脈血O₂分圧について70~61Torrを軽度異常、60~56Torrを中等度異常、55Torr以下を高度異常としています。

また、予測肺活量1秒率については、40~31%を軽度異常、30~21%を中等度異常、20%以下を高度異常としています。

ただし、これらの数値は障害等級を機械的に決めるものではなく、ほかの検査結果や日常生活の状態などとあわせて確認されます。

※実務上の重要ポイント:肺気腫の進行により『在宅酸素療法(HOT)』を常時行っている場合は、検査数値にかかわらず原則として『障害等級3級』に認定されるという基準があります。(※障害基礎年金は2級以上が対象のため注意が必要です)

 

肺気腫の障害認定で確認される呼吸機能検査の基準

検査項目 軽度異常 中等度異常 高度異常
動脈血O₂分圧 70~61 Torr 60~56 Torr 55 Torr以下
動脈血CO₂分圧 46~50 Torr 51~59 Torr 60 Torr以上
予測肺活量1秒率 40~31% 30~21% 20%以下

※障害認定基準では、病状判定に際して動脈血O₂分圧を重視するとされています。
※動脈血ガス分析値は安静時に測定することとされています。
※上記の検査結果だけで障害等級が決定されるものではありません。
※参考HP:日本年金機構

 

日常生活や仕事への支障も認定時に確認される

肺気腫による障害を判断する際には、検査結果だけでなく、実際の日常生活にどの程度の制限が生じているのかも確認されます。

障害認定基準には、歩行や身のまわりのことができるか、軽労働が可能か、日中にどの程度起居しているか、屋外への外出が可能かなどを確認する一般状態区分が設けられています。

たとえば、歩行や身のまわりのことはできても軽労働ができない状態と、身のまわりのことにも介助が必要で屋外への外出がほぼできない状態では、生活上の制限の程度が異なります。

そのため、肺気腫による息切れや呼吸困難が、食事、入浴、着替え、歩行、外出、仕事などにどのような影響を与えているのかを具体的に整理することが大切です。

 

肺気腫の障害年金で確認される一般状態区分

一般状態区分 状態の目安
無症状で社会活動ができ、発病前と同等に生活できる
軽度の症状があり、肉体労働は制限されるものの、歩行・軽労働・座業はできる
歩行や身のまわりのことはできるが、軽労働はできず、日中の50%以上は起居している
身のまわりのことはある程度できるものの、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床している
身のまわりのこともできず、常に介助が必要で、終日就床を必要とする

※一般状態区分は、呼吸不全による障害の程度を判断する際に用いられます。
※実際の認定では、一般状態区分だけでなく、検査成績や治療経過なども含めて総合的に判断されます。
※アからオに進むほど、日常生活への制限が大きくなります(オだから等級が上がると判断されるわけではありません)

 

肺気腫の症状だけでなく診断書の内容も確認される

肺気腫で障害年金を請求するときは、医師が作成する診断書によって、医学的な障害状態を確認します。

呼吸器疾患には専用の障害年金診断書があり、呼吸器の症状や検査結果、一般状態など、障害の程度を判断するための事項が記載されます。

そのため、請求時には現在の症状や検査結果だけでなく、治療の経過や日常生活上の制限についても、診療内容と整合する形で確認する必要があります。

日本年金機構も、診断書を作成する際には「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」や診断書記載要領を確認するよう案内しています。

診断書を依頼する際には、障害年金の請求時期や必要となる診断書の種類について、事前に年金事務所などへ確認しておくと手続きを進めやすくなります。

☞参考記事:「障害年金を受給するためのポイントについて」

 

肺気腫で障害年金を受け取るための申請方法と流れ

肺気腫で障害年金を受け取るための申請方法と流れ

 

肺気腫で障害年金を請求するには、障害状態だけでなく、初診日や保険料納付要件などを確認したうえで必要書類を準備します。

特に呼吸器疾患では、診断書に検査結果や治療状況などの医学的情報が記載されるため、請求前に必要な診断書の種類を確認することが重要です。

また、請求には病歴や就労状況などを記載する書類も必要となるため、発症から現在までの経過を整理しておくと手続きを進めやすくなります。

日本年金機構も、請求前に年金事務所等へ相談し、必要な要件や診断書の種類を確認するよう案内しています。

 

① まず、肺気腫で最初に医療機関を受診した日を確認する

障害年金の請求では、肺気腫について最初に医師の診療を受けた日である「初診日」の確認から始めます。

初診日に厚生年金保険へ加入していたのか、国民年金の対象だったのかによって、請求できる障害年金の種類が変わるためです。

肺気腫と確定診断された日が初診日になるとは限らず、原因となる症状について最初に診療を受けた医療機関が初診医療機関となる場合があります。

そのため、過去の診察券、診療録、紹介状などを確認しながら、初診日の特定に必要な資料を整理します。

※実務上の注意点:肺気腫は、確定診断された日ではなく『咳が止まらない』『息苦しい』といった初期症状で近所の内科などを初めて受診した日が初診日となるケースが一般的です。初診日を間違えると不支給になるリスクがあるため、過去の通院歴を慎重に遡って確認する必要があります。

☞参考記事:「【障害年金申請】初診日の記録が見つからない?初診日証明のための最後の手段とは」

 

② 障害年金の申請に必要な書類を準備する

障害年金の請求では、年金請求書をはじめ、診断書、病歴・就労状況等申立書など、請求内容に応じた書類を準備します。

必要書類は、初診日や請求方法、加入していた年金制度などによって異なる場合があります。

呼吸器疾患については「呼吸器疾患の障害用」の診断書が用意されており、日本年金機構の案内でも、請求手続きに使用する診断書として掲載されています。

書類を準備する前に、年金事務所などで必要な書類を確認しておくと、不要な書類を集めたり、必要な資料が不足したりすることを防ぎやすくなります。

 

肺気腫の障害年金請求で準備する主な書類

書類 何のために必要? 肺気腫の場合のポイント
年金請求書 障害年金を請求するための基本的な書類 障害基礎年金と障害厚生年金で請求書の様式が異なります
診断書 現在の障害状態を医学的に確認するため 肺気腫などの呼吸器疾患では、「呼吸器疾患の障害用」の診断書を使用します
病歴・就労状況等申立書 発病から現在までの病歴や就労状況などを申し立てるため これまでの治療経過や仕事への影響などを整理して記載します
受診状況等証明書 初診日を確認するため 診断書を作成する医療機関と初診の医療機関が異なる場合などに必要になることがあります
初診日を確認するための資料 障害年金の初診日を確認するため 医療機関の記録など、請求内容に応じて必要となる場合があります
本人確認・年金番号などを確認する書類 本人情報や年金記録を確認するため マイナンバーの登録状況などによって、提出書類が異なる場合があります
その他の添付書類 配偶者や子の有無など、個別の状況を確認するため 家族関係や請求内容などによって追加書類が必要になる場合があります

 

③ 医師に障害年金用の診断書を作成してもらう

障害年金の診断書は、現在の障害状態を医学的な観点から確認するための重要な資料です。

肺気腫の場合は呼吸器疾患用の診断書を使用し、医師が症状や検査結果、治療状況などを記載します。

日本年金機構は、診断書を作成する前に、障害年金の要件や診断書へ記入する症状の日付を確認する必要があるため、年金事務所等への相談を案内しています。

請求する時点や障害認定日の状態を適切に反映できるよう、診断書を依頼する前に必要事項を確認しておくことが重要です。

☞参考記事:「【専門家が解説】障害年金の診断書:どの期間のものが必要?有効期限があるって本当?」

 

④ 年金事務所などへ必要書類を提出する

必要な書類がそろったら、年金事務所などへ障害年金の請求書類を提出します。

どこへ提出するかは、初診日に加入していた年金制度や請求する障害年金の種類によって異なる場合があります。

障害基礎年金については、市区町村役場の国民年金窓口などが請求窓口となる場合があり、障害厚生年金については年金事務所などで手続きを行います。

提出先や必要書類に迷う場合は、請求前に年金事務所や街角の年金相談センターなどへ確認することができます。

☞よくわからない方は、まずは無料相談をご活用ください^^

 

肺気腫の障害年金の請求で注意したいポイント

肺気腫の障害年金の請求で注意したいポイント

肺気腫で障害年金を請求する際は、「肺気腫という病名があるから受給できる」と考えないことが重要です。

障害年金は、病名そのものではなく、病気によって生じた障害の状態が認定基準に該当するかどうかを審査する制度だからです。

呼吸器疾患では、検査結果だけでなく、症状、治療経過、一般状態、日常生活状況などが総合的に確認されます。

そのため、現在の症状と生活への影響を具体的に整理し、制度上必要な資料を適切に準備することが重要になります。

 

症状が重くても障害年金を受給できるとは限らない

肺気腫の症状が重いと感じていても、それだけで障害年金の受給が決まるわけではありません。

障害年金では、初診日や保険料納付要件を満たしていることに加えて、障害認定基準に定められた障害状態に該当する必要があります。

呼吸器疾患では、自覚症状や検査成績、一般状態、治療経過、日常生活状況などを総合して障害の程度を認定します。

したがって、息切れなどの症状がある場合でも、医学的資料と日常生活上の制限を具体的に確認したうえで受給可能性を判断する必要があります。

☞参考記事:「障害年金請求時の注意点について」

 

診断書と病歴・就労状況等申立書の内容を確認する

障害年金の請求では、医師が作成する診断書と、請求者が作成する病歴・就労状況等申立書など、それぞれの資料に事実と異なる記載がないよう、正確に整理することが大切です。

診断書には医学的な検査結果や症状などが記載され、病歴・就労状況等申立書では発症から現在までの病歴や就労状況などを整理します。

両方の資料で記載内容に大きな相違がある場合、障害状態を適切に確認するうえで追加の確認が必要となる可能性があります。

請求前には、診療記録などを確認しながら、これまでの治療経過と現在の生活状況を正確に整理しておくことが重要です。

 

診断書と病歴・就労状況等申立書の違い

  診断書 病歴・就労状況等申立書
作成する人 医師 請求者本人
主な内容 症状、検査結果、治療状況などの医学的情報 発症から現在までの病歴、受診状況、就労状況など
確認すること 現在の障害状態を医学的な観点から確認 病気によって生活や仕事がどのように変化したかを整理
肺気腫の場合 呼吸機能検査の結果や呼吸器症状などを記載 息切れや呼吸困難による生活・仕事への影響、これまでの治療経過などを記載
重要なポイント 医学的な情報が現在の障害状態を適切に反映しているか 発症から現在までの経過や生活状況を正確に整理する
確認しておきたいこと 請求する時期に応じた診断書の様式になっているかを確認 診療記録などを参考に、受診歴や就労状況を整理

 

不支給になった場合は審査請求などの手続きも検討する

障害年金を請求した結果、希望する等級に認定されなかった場合には、決定内容を確認したうえで、その後の対応を検討することになります。

障害年金の決定に不服がある場合には、審査請求などの不服申立て制度があります。

ただし、具体的な手続きには期限があるため、決定通知書を受け取った場合は内容を確認し、必要に応じて速やかに専門機関へ相談することが重要です。

また、症状がその後重くなった場合には、制度上の要件を確認したうえで別の請求方法が検討できる場合もあります。

☞参考記事:「障害年金の不服申し立てとは何か?方法や流れを解説!」

 

【まとめ】肺気腫による障害年金の金額は、等級によって変わってくる

【まとめ】肺気腫による障害年金の金額は、等級によって変わってくる

肺気腫でも、症状によって日常生活や仕事に大きな制限が生じている場合は、障害年金の対象となる可能性があります。

令和8年度の障害基礎年金は1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円ですが、障害厚生年金では加入期間や報酬などによって金額が変わります。

肺気腫の障害認定では、呼吸機能の検査結果だけでなく、症状や治療経過、日常生活状況などを総合的に確認します。

請求を検討する場合は、まず初診日と加入していた年金制度を確認し、必要な診断書や請求書類を準備することが重要です。

最終更新日 6日 ago

投稿者プロフィール

但馬 彰
但馬 彰Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。

この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。

障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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