緑内障でも障害年金がもらえるのかを徹底解説!

緑内障と診断され、視力の低下や視野の狭まりを感じるようになると、「このまま仕事を続けられるだろうか」「障害年金を利用できるのだろうか」と不安を抱える方も少なくありません。

しかし、障害年金は傷病名だけで判断される制度ではなく、視力や視野の状態、初診日、保険料の納付状況など、確認すべき事項が複数あります。

さらに、緑内障は症状の現れ方や進行の程度に個人差があり、現在の症状だけでは判断しにくいケースもあります。

そこでこの記事では、緑内障と障害年金の関係について、受給要件や障害等級、必要な書類、申請時に確認しておきたいポイントを順番に解説します。

 

 

緑内障による障害年金は視力・視野の状態によって受給できる

緑内障による障害年金は視力・視野の状態によって受給できる

 

緑内障で障害年金を請求する場合、重要になるのは傷病名そのものではなく、眼の障害がどの程度残っているかという点です。

日本年金機構の障害認定基準では、眼の障害について視力や視野の状態などを基準として障害等級を認定します。

そのため、緑内障と診断されていても、障害年金の等級に該当するとは限りません。

一方で、緑内障によって一定程度の視力低下や視野障害が生じている場合には、障害年金の対象となる可能性があります。

 

障害年金の対象になるかは、「視力や視野の障害が認定基準に該当するか」で判断される

緑内障で障害年金の対象となるかどうかは、視力や視野の障害が認定基準に該当するかによって判断されます。

障害認定基準では、視力について一定の数値を満たす場合や、視野について一定の基準に該当する場合が定められています。

視野とは、眼を動かさずに見ることのできる範囲を指し、緑内障では視野が徐々に狭くなることがあります。

そのため、視力がある程度保たれている場合でも、視野障害の程度によっては障害等級に該当する可能性があります。

※令和4年の法改正により視野障害の認定基準が明確化され、以前は対象外だった方も受給できる可能性が広がりました。

☞参考記事:日本年金機構「令和4年1月1日から「眼の障害」の障害認定基準が一部改正されました」

 

障害等級への判断として、「障害認定基準に定められた数値」を利用する

障害年金の眼の障害は、障害認定基準に定められた数値などをもとに判断されます。

現在の基準では、視力について「両眼の視力の和」ではなく、「良い方の眼の視力」を基準とする方式に変更されています。

また、視野についてはゴールドマン型視野計だけでなく、自動視野計による測定結果も認定に用いられています。

障害等級は身体障害者手帳の等級とは別の制度上の基準で判断されるため、手帳の等級だけから障害年金の等級を判断することはできません。

☞参考資料:日本年金機構「第1章 障害等級認定基準 第1節 眼の障害」

 

「視力」と「視野」のどちらも審査では重要視される

 

緑内障の場合、視力だけではなく視野の状態も重要な判断材料になります。

日本年金機構の障害等級表では、視力による基準だけでなく、ゴールドマン型視野計や自動視野計による測定結果についても具体的な基準が設けられています。

たとえば2級では、視力による基準のほか、自動視野計による両眼開放視認点数や両眼中心視野視認点数による基準が定められています。

そのため、緑内障の請求では、視力検査の結果だけでなく、視野検査の結果についても確認することが重要です。

 

視力障害の認定基準について

障害等級

視覚障害の基準の例
1級 良い方の眼の視力が0.03以下など
2級 良い方の眼の視力が0.07以下など
3級 良い方の眼の視力が0.1以下など(厚生年金保険のみ)
視野障害 視野計による測定結果についても等級ごとの基準あり

※上表は主な基準の例であり、実際の認定では障害認定基準に基づいて判断されます。
※参考資料:日本年金機構

 

緑内障で障害年金を受給するための3つの要件

緑内障で障害年金を受給するための3つの要件

緑内障による視覚障害が障害等級に該当していても、それだけで障害年金を受給できるとは限りません。

障害年金では、原則として初診日、保険料納付要件、障害の状態という複数の要件を確認する必要があります。

特に初診日は、加入していた年金制度や請求できる障害年金の種類を判断するうえでも重要な情報です。

そのため、症状の確認と同時に、初診日や年金記録についても整理しておく必要があります。

 

緑内障で障害年金を受給するための3つの要件

要件 確認すること ポイント
① 初診日 緑内障について初めて医師の診療を受けた日 初診日に加入していた年金制度によって、障害基礎年金・障害厚生年金のどちらが対象になるかが変わります
② 保険料納付要件 初診日前の年金保険料の納付・免除状況 原則として、初診日の前日における納付状況を確認します。一定の条件を満たす必要があります
③ 障害の状態 障害認定日における視力・視野などの状態 障害等級に該当する程度の障害状態であるかを確認します。後から症状が重くなった場合は事後重症請求ができる場合があります

 

① 「初診日」を確認する必要がある

障害年金を請求する際には、まず緑内障について最初に医師または歯科医師の診療を受けた日である「初診日」を確認します。

初診日は、障害年金の受給要件を判断するうえで重要な日付です。

また、初診日にどの年金制度へ加入していたかによって、障害基礎年金または障害厚生年金の対象となるかが変わります。

以前に別の医療機関を受診していた場合などは、現在通院している医療機関の受診日だけを初診日と考えないよう注意が必要です。

※実務上の重要ポイント:緑内障は自覚症状が出にくく進行が緩やかなため、『会社の健康診断などで眼圧異常を指摘された日』や、『老眼や飛蚊症だと思って初めて眼科を受診した日』が10年以上前になるケースが少なくありません。

初診日が古いとカルテが破棄されていて証明が困難になるリスクが高いため、過去の診察券やお薬手帳、健康診断の記録を早めに探しておくことが非常に重要です。

☞参考記事:「障害年金の受給要件について」

 

 

② 「保険料納付要件」を満たしているか確認する

障害年金では、原則として初診日の前日における保険料納付要件を確認する必要があります。

障害基礎年金や障害厚生年金では、初診日のある月の前々月までの被保険者期間について、保険料の納付済期間と免除期間を合わせた期間が一定以上あることなどが要件とされています。

また、一定の条件を満たす場合には、初診日のある月の前々月までの直近1年間に未納がないことを要件とする特例があります。

なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合には、保険料納付要件が不要となる場合があります。

 

③ 「障害認定日の状態」が重要になる

障害年金では、原則として障害認定日における障害の状態を確認します。

障害認定日とは、原則として初診日から1年6か月を経過した日、またはそれより前に症状が固定した場合などにおける基準日のことです。

障害基礎年金では、障害認定日に1級または2級に該当することが受給要件の一つとされています。

障害認定日の時点では該当しなくても、その後に症状が重くなった場合には、事後重症による請求ができる場合があります。

 

緑内障での障害年金の申請に必要な書類と手続き

緑内障での障害年金の申請に必要な書類と手続き

緑内障による障害年金の請求では、年金請求書だけでなく、診断書や初診日を確認するための書類などを準備します。

特に眼の障害については、専用の「眼の障害用の診断書」が用意されています。

診断書に記載される内容や症状の日付は、障害認定の判断に関係するため、作成前に年金事務所などへ確認することが案内されています。

必要書類は請求する年金の種類や個々の状況によって異なるため、事前に確認して準備することが重要です。

☞参考資料:日本年金機構「眼の障害用の診断書を提出するとき」

 

診断書には「眼の障害の状態を確認するための事項」が記載される

緑内障による障害年金の請求では、眼の障害用の診断書を使用します。

診断書には、視力や視野など、眼の障害の状態を確認するための事項が記載されます。

 

障害年金 眼の診断書※参考資料:日本年金機構「障害基礎年金 ・ 障害厚生年金の診断書作成の留意事項」

 

障害認定では診断書などの提出書類をもとに障害の状態が判断されるため、現在の症状だけでなく、どの時点の状態を記載する診断書が必要かを、事前に確認しておくことが重要です。

日本年金機構も、診断書を作成する前に障害年金の要件や診断書に記入する症状の日付などを年金事務所等へ確認するよう案内しています。

 

初診日の証明に、「受診状況等証明書」が必要になることもある

初診日を証明するために、受診状況等証明書が必要になる場合があります。

受診状況等証明書とは、障害の原因となった傷病について、初めて診療を受けた医療機関などで初診日を証明するための書類です。

現在通院している医療機関と初診時の医療機関が異なる場合には、初診日の確認が問題になることがあります。

そのため、過去の診療記録や医療機関の情報を整理し、初診日を確認できる資料を準備することが重要です。

☞難しいケースも多いので、良ければご相談ください^^

☞参考記事:「【障害年金申請】初診日の記録が見つからない?初診日証明のための最後の手段とは」

 

障害年金の請求書類を準備する際は、自己判断だけでなく、年金事務所などで書類を確認する

障害年金の請求書類は、請求する人の状況に応じて必要なものが変わります。

日本年金機構では、診断書のほか、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書など、障害年金の請求に関連する書類を案内しています。

書類の不足や記載内容の確認不足を避けるため、自己判断で一度にすべてを用意するのではなく、年金事務所などで必要書類を確認する方法が適切です。

特に診断書は、使用する様式や記載する症状の日付が重要になるため、作成前の確認が求められます。

 

障害年金に必要な書類の一例

主な書類 確認する内容
年金請求書 障害年金の請求に使用する基本書類
眼の障害用診断書 視力・視野など眼の障害の状態
受診状況等証明書 初診日を確認するための資料
病歴・就労状況等申立書 病歴や日常生活、就労状況などを申立てる書類
その他の添付書類 請求者の状況に応じて必要となる書類

※必要書類は個別の事情によって異なるため、実際の請求時には年金事務所等で確認してください。

 

緑内障で障害年金を申請するときの注意点

緑内障で障害年金を申請するときの注意点

緑内障で障害年金を請求するときは、「緑内障と診断されたから受給できる」という考え方をしないことが重要です。

障害年金では、傷病名だけでなく、障害の状態、初診日、保険料納付要件などを確認して総合的に手続きを進めます。

また、視力が比較的保たれていても視野に障害がある場合があるため、視力だけで請求の可能性を判断することも適切ではありません。

請求を検討する際は、診療記録や視野検査の結果などを整理し、制度上の基準と照らし合わせる必要があります。

 

現在の症状だけで判断しないことが大切

障害年金の請求では、現在の症状だけを見て受給できるかどうかを判断しないことが重要です。

障害年金には障害認定日という基準となる時点があり、その時点における障害の状態が認定に関係します。

また、障害認定日の時点では障害等級に該当しなかった場合でも、その後に症状が重くなったことで事後重症による請求が可能となる場合があります。

したがって、現在の視力や視野だけでなく、これまでの症状の経過を含めて確認する必要があります。

☞参考記事:「障害年金請求時の注意点について」

☞参考記事:「障害年金の不服申し立てとは何か?方法や流れを解説!」

 

診断書を依頼する前に必要事項を確認する

診断書は障害の状態を確認する重要な書類であるため、内容を確認してから提出することが大切です。

特に眼の障害用診断書では、視力や視野などについて医学的な情報が記載されます。

日本年金機構は、診断書を作成する前に、障害年金の要件や使用する診断書の種類、診断書に記入する症状の日付を年金事務所等へ確認するよう案内しています。

医師に診断書を依頼する際には、障害年金用の診断書であることを伝え、必要な事項について確認しておくとよいでしょう。

☞参考記事:「障害年金に必要な書類等について」

 

申請前に年金事務所などへ相談する

緑内障による障害年金の請求を検討している場合は、申請前に年金事務所などへ相談することをおすすめします。

初診日や加入していた年金制度、保険料納付要件、障害認定日などは、個々の事情によって確認すべき内容が異なります。

日本年金機構も、障害の程度が該当していると思われる場合には、年金事務所または街角の年金相談センターへ相談して請求手続きを行うよう案内しています。

必要書類や手続きの流れを事前に確認することで、請求に必要な資料を整理しやすくなります。

 

【まとめ】緑内障でも障害年金受給は可能性あるが、注意は必要

【まとめ】緑内障でも障害年金受給は可能性あるが、注意は必要

緑内障でも、視力や視野の障害が障害認定基準に該当し、その他の受給要件を満たしていれば、障害年金を受給できる可能性があります。

判断では、緑内障という傷病名だけでなく、視力・視野の状態や初診日、保険料納付要件、障害認定日の状態などを確認します。

特に眼の障害については、現在の基準で視力と視野の双方について具体的な認定基準が設けられています。

請求を検討する場合は、診断書や初診日を確認する書類を準備し、年金事務所などで自身のケースに必要な手続きを確認しましょう。

※令和4年1月の改正で、視野障害の認定基準が大きく見直され、それまで対象外だった方が障害等級に該当するようになったケースがあります

改正前に請求して不支給となった方や、「視力は保たれているから無理」と言われて申請を見送った方も、現在の基準で改めて確認する価値もあるとも言えますね。

最終更新日 4日 ago

投稿者プロフィール

但馬 彰
但馬 彰Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。

この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。

障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
ご相談のご予約
070-9015-5632

受付時間:平日9:30~16:30
(20時~22時は電話・メール・
オンライン対応が可能)