うつ病で障害年金3級になった場合、金額はいくらになるのか?

うつ病で障害年金3級に該当した場合、「毎月いくら受け取れるのだろう」と気になる方は少なくありません。

障害厚生年金3級には最低保障額がありますが、すべての受給者が同じ金額になるわけではありません。

実際の年金額には、厚生年金に加入していた期間や過去の報酬などが関係するためです。

この記事では、うつ病で障害厚生年金3級になった場合の金額や計算方法、受給要件、申請前に確認しておきたいポイントを順番に解説します。

 

 

うつ病で障害年金3級になった場合の金額

うつ病で障害年金3級になった場合の金額

うつ病で障害厚生年金3級に認定された場合、受け取る金額は一律ではありません。

障害厚生年金3級の年金額は、原則として報酬比例の年金額によって決まり、一定額を下回る場合には最低保障額が適用されます。

 

障害厚生年金3級の金額は「報酬比例の年金額」で決まる

障害厚生年金3級の年金額は、原則として報酬比例の年金額によって決まります。

報酬比例部分とは、老齢厚生年金や障害厚生年金などの年金額を計算する基礎となる部分で、厚生年金の加入期間や過去の報酬などに応じて算出されます。

つまり、障害厚生年金3級について「3級なら全員が同じ金額を受け取れる」と考えるのは正確ではありません。

同じ3級であっても、厚生年金に加入していた期間や当時の報酬などによって、実際に算定される年金額は異なります。

 

障害厚生年金3級には最低保障額がある

障害厚生年金3級には最低保障額が設定されています。

令和8年4月分からの最低保障額は、昭和31年4月2日以後生まれの方が年額635,500円、昭和31年4月1日以前生まれの方が年額633,700円です。

報酬比例の年金額が最低保障額を下回る場合でも、3級にはこの最低保障額が設けられています。

そのため、うつ病で障害厚生年金3級に認定された場合の金額を確認するときは、報酬比例の年金額と最低保障額の両方を押さえておく必要があります。

 

【令和8年度現在】障害厚生年金3級の最低保障額について

対象者 令和8年度の障害厚生年金3級の最低保障額 月額換算の目安
昭和31年4月2日以後生まれ 年額635,500円 約52,958円
昭和31年4月1日以前生まれ 年額633,700円 約52,808円

※参考HP:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
※月額換算は年額を12カ月で割った概算額です。

 

 

【結論】障害年金3級の金額を月額にすると、最低でも「約52,958円以上」

障害厚生年金3級の最低保障額を月額に換算すると、昭和31年4月2日以後生まれの方の場合、令和8年度は約52,958円が目安です。【令和8年度現在】

年額635,500円を12カ月で割ると、約52,958円になるためです。

ただし、これはあくまで最低保障額を12分の1にした金額であり、すべての3級受給者が月額約5万3,000円になるわけではありません。

報酬比例の年金額が最低保障額を上回る場合はその金額が基礎となるため、自分の年金額については個別に確認する必要があります。

※注意点:障害年金は毎月ではなく、2か月に1回(偶数月の15日)に2か月分がまとめて支給されます。 月額約52,958円の場合、実際の振込は2か月ごとに約105,916円となります。

※あわせて知っておきたい点として、障害年金は非課税所得です。 所得税・住民税がかからないため、同額の給与と比べると手元に残る金額は多くなります。

 

実際にもらえる金額は、厚生年金の加入期間や過去の本人の報酬額などで変わる

障害厚生年金3級で実際に受け取る金額は、受給する方の厚生年金加入記録によって異なります。

報酬比例部分は、年金の加入期間や過去の報酬などに応じて計算されるためです。

たとえば、同じうつ病で3級に認定された場合でも、厚生年金への加入期間や加入中の報酬が異なれば、報酬比例の年金額にも違いが生じます。

したがって、自分が受け取れる具体的な金額を知りたい場合は、最低保障額だけを見るのではなく、自身の厚生年金加入記録をもとに確認することが必要です。

☞参考事例:「【ADHDで障害年金を受給】40代男性が3級認定&3年分の遡及で初回190万円を受給した実例(石川県金沢市)」

 

うつ病で障害年金3級を受給できる条件

うつ病で障害年金3級を受給できる条件

うつ病と診断されているだけで、障害厚生年金3級を受給できるわけではありません。

障害厚生年金では、初診日や保険料納付要件を満たしたうえで、障害の状態が認定基準に該当するかどうかが確認されます。

精神の障害では、病状だけでなく、日常生活能力や社会生活への適応状況、就労状況なども考慮されます。

したがって、診断名だけで3級への該当・非該当を判断することは適切ではありません。

※実務上の重要ポイント:障害厚生年金には、3級よりも軽い症状の場合に支給される『障害手当金(一時金)』という制度があります。

しかし、うつ病などの【精神疾患】においては、症状が完全に固定しない(治癒しない)という性質上、原則としてこの『障害手当金』は支給されません。そのため、うつ病で受給できるのは実質的に『3級以上』に限られる点に注意が必要です

 

「初診日」に厚生年金保険の被保険者であったか

障害厚生年金 初診日

うつ病で障害厚生年金3級を請求する場合は、原則として「初診日」に厚生年金保険の被保険者であったことが要件となります。

初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。

たとえば、会社員として厚生年金保険に加入している期間中に、うつ病の症状で初めて医療機関を受診した場合、その受診日が初診日となり、障害厚生年金の対象となり得ます。

一方、障害基礎年金には3級がないため、うつ病で障害年金3級を検討する際は、まず初診日を特定し、その時点で厚生年金保険の被保険者であったかを確認することが重要です。

☞参考記事:「【障害年金申請】初診日がわからなくても諦めない!初診日を証明するための方法とは?」

 

「保険料納付要件を満たしているか」を確認する

障害厚生年金を受給するためには、原則として所定の「保険料納付要件」を満たしている必要があります。

基本的には、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あることが求められます。

初診日の時期などによっては特例が適用される場合もあるため、自分の納付記録だけを見て自己判断しないことが大切です。

納付要件に不安がある場合は、年金事務所などで年金記録を確認したうえで請求手続きを検討しましょう。

 

診断書と病歴・就労状況等申立書の内容を整理する

うつ病による障害年金の請求では、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容を整理することが重要です。

病歴・就労状況等申立書は、発病から初診、治療の経過、日常生活や就労の状況などを請求者側から伝えるための書類です。

たとえば、家族からどのような援助を受けているのか、仕事でどのような配慮を受けているのかなど、実際の状況を時系列で整理して記載します。

事実と異なる内容を書いたり症状を誇張したりするのではなく、医療機関への受診歴や生活実態と整合する内容を具体的に整理することが大切です。

 

うつ病の障害年金申請で確認したい2つの書類

確認する項目 診断書 病歴・就労状況等申立書
発病・初診 傷病名や診療内容など 発病から初診までの経過を整理する
治療の経過 現在の病状や治療内容など 初診から現在までの受診・治療経過を時系列で記載する
日常生活 日常生活能力や生活状況など 食事、身の回りのこと、金銭管理などの状況を具体的に記載する
家族などの援助 日常生活能力などを確認する材料となる 家族などから受けている援助の内容を記載する
就労状況 勤務状況や仕事場での援助など 仕事の経過や現在の勤務状況、職場で受けている配慮などを記載する

2つの書類の内容を無理に合わせるのではなく、実際の受診歴や生活実態を正確に整理することが大切です。

 

うつ病の症状だけでなく日常生活や労働への影響も確認される

障害年金 日常生活

うつ病による障害の程度は、症状の名称や診断名だけで判断されるものではありません。

精神の障害に関する認定では、日常生活能力などを確認し、社会的な適応性の程度も考慮して判断されます。

たとえば、食事や身の回りのこと、金銭管理、対人関係、通院や服薬などについて、どの程度自分で行えるのか、援助が必要なのかといった実態が重要になります。

そのため、請求時には「うつ病である」という事実だけではなく、病気によって日常生活や社会生活にどのような制限が生じているのかを適切に伝えることが重要です。

 

働いていても障害年金3級を受給できる場合がある

働いているという事実だけをもって、障害厚生年金3級の対象外になるとは限りません。

精神の障害に関する認定基準では、一般就労をしている場合でも、援助や配慮のもとで働いている可能性があるため、就労していることだけで日常生活能力が向上したと判断しないこととされています。

実際の認定では、仕事の種類や内容、就労状況、職場で受けている援助、他の従業員との意思疎通なども確認対象になります。

したがって、「働いているから受給できない」「休職しているから受給できる」と一律に判断せず、実際の就労状況や日常生活の状態を確認する必要があります。

☞参考記事:「うつ病でも、働きながら障害年金をもらえるのかを徹底解明!」

 

 

うつ病の障害年金3級の金額を確認するときの注意点

うつ病の障害年金3級の金額を確認するときの注意点

うつ病で障害厚生年金3級の金額を確認するときには、最低保障額だけを見るのではなく、制度上の違いや年度改定も理解しておく必要があります。

特に1級・2級と3級では、障害基礎年金や加給年金額の取り扱いが異なります。

インターネット上の古い年金額を参考にすると、現在の金額と一致しない場合もあります。

自分の受給見込額を確認するときは、対象年度と障害等級を明確にして情報を見ることが大切です。

 

障害年金3級には障害基礎年金が上乗せされない

障害年金3級には障害基礎年金が上乗せされない

障害厚生年金3級には、原則として障害基礎年金は上乗せされません。

障害基礎年金には1級と2級があり、障害厚生年金3級に対応する障害基礎年金3級という制度はないためです。

一方、障害厚生年金1級または2級に該当し、障害基礎年金の受給要件も満たす場合には、障害基礎年金と障害厚生年金を受給する仕組みとなっています。

3級の金額を1級・2級と比較するときは、この制度上の違いを踏まえて確認する必要があります。

☞わかりにくい場合、無料相談も行ってますので、良ければご活用ください。

 

障害厚生年金3級には配偶者加給年金額が加算されない

障害厚生年金3級には、配偶者に関する加給年金額は加算されません。

障害厚生年金の配偶者加給年金額は、一定の要件を満たす1級または2級の受給権者が対象となるためです。

そのため、配偶者がいる3級の受給者であっても、それだけを理由として障害厚生年金3級の年金額が増えるわけではありません。

家族構成を踏まえて受給額を確認するときは、1級・2級と3級の加算制度を混同しないよう注意が必要です。

※障害厚生年金3級の場合、配偶者の加給年金だけでなく、要件を満たす子がいる場合に支給される『子の加算』も対象外となります。1級・2級とは異なり、ご家族やお子様がいても加算がつかない点には注意が必要です。

 

障害年金の金額は年度によって改定される

障害年金の金額は固定ではなく、年度によって改定されます。

公的年金の年金額は、賃金や物価の変動などを踏まえ、法律で定められた仕組みに基づいて毎年度改定されるためです。

そのため、過去の記事や古いパンフレットに記載されている障害厚生年金3級の最低保障額が、現在の金額と異なることがあります。

障害年金の金額を確認するときは、情報が掲載された年度を確認し、日本年金機構などが公表する最新情報と照らし合わせることが重要です。

☞参考HP:日本年金機構「大切なお知らせ(個人の方)」

 

【まとめ】うつ病の障害年金3級の金額は人によって異なるので、まずは一度相談してみるのが良い

【まとめ】うつ病の障害年金3級の金額は人によって異なるので、まずは一度相談してみるのが良い

うつ病で障害厚生年金3級に認定された場合の金額は、全員一律ではありません。

報酬比例の年金額や最低保障額などを踏まえて決定されるため、過去の給与や厚生年金の加入記録などによって受給額が異なります。

また、3級の認定では病名だけではなく、日常生活や就労への影響なども確認されます。

自分の受給可能性や具体的な年金額を確認したい場合は、初診日や年金加入記録、診断書などを整理したうえで、年金事務所や障害年金を取り扱う専門家へ相談することもおすすめです。

☞無料相談も行ってますので、お気軽にご相談ください^^

最終更新日 2週間 ago

投稿者プロフィール

但馬 彰
但馬 彰Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士(石川県社会保険労務士会所属 社労士登録番号 17220008)
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。

この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。

障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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