うつ病でも、働きながら障害年金をもらえるのかを徹底解明!

「うつ病で治療を続けているものの、働いていたら障害年金はもらえないのだろうか」と疑問に感じる方は少なくありません。

障害年金では、働いているという事実だけで受給の可否が決まるわけではありません。

うつ病の場合は、症状や日常生活への影響に加え、仕事内容や勤務状況、職場で受けている援助なども含めて障害状態が判断されます。

この記事では、うつ病で働きながら障害年金を申請する場合の考え方や受給要件、手続きについて解説します。

 

 

うつ病で障害年金は働きながらでも受給できる

うつ病で障害年金は働きながらでも受給できる

うつ病で働いている方でも、障害年金の受給対象となる可能性があります。

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、一定の要件を満たす方が受け取れる公的年金制度です。

そのため、就労の有無だけではなく、うつ病によって日常生活や社会生活にどの程度の制限が生じているのかを確認する必要があります。

さらに、初診日や保険料納付要件、障害状態などの受給要件を満たしているかについても確認が必要です。

☞参考記事:「【金沢 社労士】うつ病は障害年金の対象です。申請時の注意点を徹底解説!」

 

働いているだけで障害年金の対象外になるわけではない

働いていることだけを理由として、直ちに障害年金の対象外になるわけではありません。

精神疾患の認定では、就労状況だけでなく、病状や療養状況、生活環境、日常生活能力などを踏まえて総合的に評価されるためです。

たとえば、職場から継続的な援助を受けている方や、仕事の内容が限定されている方などは、その具体的な就労実態も判断材料になります。

したがって、「会社に勤務しているから障害年金は申請できない」と自己判断するのではなく、実際の障害状態を整理することが大切です。

 

うつ病で障害年金を受給するために必要な3つの要件

うつ病で障害年金を受給するには、原則として「初診日」、「保険料納付」、「障害状態」に関する要件を確認する必要があります。

初診日とは、障害の原因となった病気について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を指します。

また、原則として初診日の前日において所定の保険料納付要件を満たし、障害認定日などに一定の障害状態に該当することが求められます。

うつ病の症状だけで受給が決まる制度ではないため、まずは初診日から現在までの通院歴や年金加入記録を整理しておくことが重要です。

☞参考記事:「障害年金の受給要件について」

 

うつ病で障害年金をもらう場合に必要な3つの要件

確認する項目 主な内容
① 初診日 うつ病などの原因となった傷病について初めて医師等の診療を受けた日
② 保険料納付要件 初診日の前日において所定の年金保険料の納付要件を満たしているか
③ 障害状態 障害認定日などに法令で定める障害状態に該当しているか

 

うつ病で働きながら、障害年金を申請するなら日常生活の状態も重要

うつ病で働きながら、障害年金を申請するなら日常生活の状態も重要

うつ病の障害年金では、就労状況とともに日常生活の状態が重要な判断材料になります。

精神疾患の診断書には、食事、清潔保持、金銭管理、通院・服薬、対人関係など、日常生活能力に関する項目があります。

そのため、仕事には何とか通えていても、自宅では家族の援助がなければ生活を維持できないケースでは、その状況を正確に伝える必要があります。

就労中の様子だけでなく、自宅を含めた日常生活全体の状態を整理することが重要です。

 

うつ病の障害等級は、日常生活能力などから総合的に判断される

うつ病の障害等級は、診断名だけではなく、日常生活能力などを踏まえて総合的に判断されます。

精神疾患の診断書では「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」などが確認されます。

食事を適切に取れるか、身辺の清潔を保持できるか、金銭管理や買い物ができるかといった生活上の能力も対象です。

そのため、「うつ病と診断された」という事実だけではなく、症状によって生活にどの程度の制限が生じているかが重要になります。

☞参考記事:「障害年金を受給するためのポイント」

 

仕事ができても日常生活に大きな支障が生じているケースがある

仕事をしている方でも、日常生活に大きな支障が生じている場合があります。

限られたエネルギーを仕事に使うことで、帰宅後や休日には身の回りのことが十分にできないケースがあるためです。

たとえば、勤務後は横になったままになり、食事の準備や掃除、洗濯などを家族に任せている場合などが考えられます。

就労の事実だけを見るのではなく、仕事による疲労が日常生活へどのような影響を及ぼしているかも整理する必要があります。

 

 

家族や職場から受けている援助や配慮も具体的に整理する

家族や職場から援助を受けている場合は、その内容を具体的に整理しておきましょう。

援助があることで日常生活や就労を維持できている場合、援助がない状態を想定すると生活能力の評価が変わる可能性があるためです。

たとえば、家族が食事を準備している、服薬を確認している、金銭管理を代わっているといった援助が考えられます。

職場についても、業務量の調整や対人業務の免除など、実際に受けている配慮を具体的に整理することが大切です。

 

障害年金申請の場合での、整理するべき援助や配慮

確認する場面 具体的に整理したい内容
家庭 食事、掃除、洗濯などを誰が行っているか
金銭管理 自分で計画的に支払いや買い物ができるか
服薬・通院 服薬管理や通院に援助が必要か
職場 勤務時間や仕事内容にどのような配慮があるか
対人関係 上司や同僚との意思疎通に援助が必要か

 

うつ病で障害年金を働きながら申請するときの手続きの流れ

うつ病で障害年金を働きながら申請するときの手続きの流れ

うつ病で障害年金を請求するときは、初診日の確認から必要書類の準備まで順番に進めることが大切です。

障害年金では、現在の症状だけでなく、初診日や年金保険料の納付状況なども受給要件に関係します。

また、診断書や病歴・就労状況等申立書など、障害状態を確認するための書類も必要になります。

医療機関の受診歴が長い方は確認に時間がかかる場合もあるため、早めに情報を整理しておきましょう。

 

うつ病での障害年金申請の流れや手順

手続き 行うこと 注意点
① 初診日の確認・証明書類の準備 うつ病などの原因となった傷病について、初めて医療機関を受診した日を確認し、必要な証明書類を準備する 現在の精神科・心療内科より前に別の医療機関を受診していないか確認する
② 医師へ診断書の作成を依頼 障害年金の所定様式による診断書の作成を医師へ依頼する 病状だけでなく、日常生活の困難や家族の援助、勤務状況、職場で受けている配慮なども事実に即して伝える
③ 病歴・就労状況等申立書を作成 発病から現在までの経過、通院状況、日常生活への支障、就労状況などを具体的に記載する 「仕事がつらい」などの抽象的な表現だけでなく、勤務時間、欠勤・早退、仕事内容、周囲からの援助などを具体的に記載する
④ 必要書類を提出 年金請求書、診断書、病歴・就労状況等申立書など、請求内容に応じた必要書類を窓口へ提出する 個別の事情によって必要書類が異なる場合があるため、事前に年金事務所などで確認する

 

① 初診日を確認して必要な証明書類を準備する

障害年金の手続きを始める際は、まず初診日を確認します。

初診日は、請求する年金の種類や保険料納付要件などを確認するうえで重要だからです。

現在通院している精神科や心療内科より前に、うつ症状などを理由として別の医療機関を受診しているケースもあります。

初診日の判断に迷う場合は、自己判断せず、年金事務所などに確認しながら必要な証明書類を準備することが大切です。

☞参考事例:「【統合失調症】初診は45年以上前。カルテ開示で16歳当時の記録を発見し、障害基礎年金2級を受給できた事例(20歳前傷病)」

 

② 医師に診断書の作成を依頼する

障害年金の請求では、原則として所定様式の診断書を医師に作成してもらいます。

うつ病など精神の障害では、病状だけでなく、日常生活能力や就労状況なども診断書の重要な記載事項になるためです。

医師が診察室だけでは把握しにくい生活上の困難がある場合は、普段の状態を具体的に伝えておく必要があります。

ただし、症状を実際より重く伝えるのではなく、家族から受けている援助や仕事上の配慮などを事実に即して説明しましょう。

 

③ 病歴・就労状況等申立書に仕事と生活の実態を記載する

病歴・就労状況等申立書には、発病から現在までの経過や就労状況などを具体的に記載します。

診断書だけでは伝えきれない通院経過や生活上の支障を、請求者側から説明するための重要な書類だからです。

たとえば、「仕事がつらい」と抽象的に記載するより、欠勤の頻度や勤務時間、周囲から受けている援助などを、事実に基づいて、実態を正確に記載することが重要です。

 

 

 

④ 年金事務所などへ必要書類を提出する

必要書類がそろったら、請求する障害年金に応じた窓口へ提出します。

障害基礎年金と障害厚生年金では請求手続きや提出先の確認が必要となるため、事前に必要書類を確認しておくと円滑です。

一般的には年金請求書のほか、診断書、病歴・就労状況等申立書など、請求内容に応じた書類を準備します。

個別の事情によって必要書類が異なる場合があるため、年金事務所や街角の年金相談センターなどで確認してから手続きを進めましょう。

 

うつ病で障害年金を働きながら申請するときの注意点

うつ病で障害年金を働きながら申請するときの注意点

働きながら障害年金を申請するときは、「働いているか」だけではなく、実際の勤務状況や日常生活の状態を正確に伝えることが重要です。

特にうつ病などの精神疾患では、診断書に記載された日常生活能力と就労状況などを踏まえて総合的に障害状態が判断されます。

そのため、診断書、病歴・就労状況等申立書、実際の生活状況に大きな食い違いが生じないよう注意が必要です。

受給できると断定できる基準はないため、個々の状況を障害認定基準などに照らして確認しましょう。

 

働いている事実だけで自己判断して申請を諦めない

現在働いているからという理由だけで、障害年金の申請を諦める必要はありません。

精神疾患では、就労の有無のみではなく、仕事の内容や勤務状況、職場からの援助なども考慮して認定されるためです。

たとえば、短時間勤務でなければ働けない場合や、周囲から日常的な援助を受けて勤務している場合もあります。

自分が対象になるか判断できないときは、年金事務所などで受給要件を確認する方法があります。

☞参考記事:「働きながらでも、障害年金2級は受給できるのかをまるっと解説」

☞参考記事:「精神疾患のある方で、障害年金3級を働きながら受給できるのかを解説」

 

日頃から生活や就労の実態を医師に伝えておく

障害年金の請求では、実際の生活状況や就労状況が医師に正しく伝わっていることが大切です。

書類ごとに生活状況や就労状況が大きく異なると、実態が正確に伝わらない可能性があるためです。

たとえば、実際には家族から食事や服薬の援助を受けているにもかかわらず、その状況が医師に伝わっていない場合があります。

医師が実態に即した診断書を作成できるよう、日頃の診察時から生活上の困りごとを具体的に伝えておくことが重要です。

 

収入額だけではなく仕事内容や職場での配慮も整理する

働きながら障害年金を申請する場合は、収入額だけでなく就労の実態を整理しましょう。

精神疾患の認定では、仕事の種類や内容、就労状況、職場で受けている援助などが考慮されるためです。

たとえば、同じ月収でも通常の業務を単独で行っている方と、業務を限定して継続的な援助を受けている方では状況が異なります。

給与額だけを取り上げるのではなく、勤務日数、勤務時間、仕事内容、欠勤状況、援助や配慮などを一体として確認することが大切です。

 

【まとめ】うつ病の障害年金は、働きながらでも受給できる可能性がある

【まとめ】うつ病の障害年金は、働きながらでも受給できる可能性がある

うつ病で働いている方でも、一定の受給要件を満たし、障害状態が認定基準に該当すれば障害年金を受給できる可能性があります。

重要なのは就労の有無だけではなく、仕事内容や職場での援助、勤務状況、日常生活への影響などを具体的に確認することです。

「働いているから対象外」と自己判断せず、初診日や保険料納付要件を含め、自分の状況を一つずつ整理したうえで申請を検討しましょう。

☞参考事例:「【うつ病】申請中の「これって大丈夫?」という不安もLINEで即解消!通院の空白期間を経て障害厚生年金2級を受給できた30代男性の事例」

最終更新日 16時間 ago

投稿者プロフィール

但馬 彰
但馬 彰Ray社労士オフィス 代表 社会保険労務士(石川県社会保険労務士会所属 社労士登録番号 17220008)
私には身体障害者手帳と療育手帳を持つ子どもがおり、障害者手帳を受け取った際の悩みや不安、孤独感を今でも鮮明に覚えています。
複雑な日本の社会保障制度の中でも、特に専門性を必要とするのが障害年金です。

この経験と社会保険労務士としての知識や経験を活かし、「同じ悩みを抱える方々の一筋の光となりたい」という強い想いのもと、Ray社労士オフィスを立ち上げました。

障害年金申請のサポートはもちろん、皆様の言葉に耳を傾け、心配事や将来の不安を解消し、安心して暮らせる明日を築くお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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